特養と老健の要介護度の入所要件の違いはある?

介護保険施設には「介護老人福祉施設」、「介護老人保健施設」、「介護医療院」、「介護療養型医療施設」があります。令和4年介護サービス施設・事業所調査の概況から介護老人福祉施設が 8,494 施設、介護老人保健施設が 4,273 施設、介護医療院が 730 施設、介護療養型医療施設が 300 施設となっています。※地域密着型介護老人福祉施設は除く

 

介護保険施設全体13,797施設のうち「介護老人福祉施設」が約61.6%、「介護老人保健施設」が約31%を占めて合わせて約92.5%となっています。

 

介護保険施設のほとんどを占めている「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム:以下「特養」という)」や「介護老人保健施設(以下「老健」という)」を聞いたことはないでしょうか。特に、高齢のおばあちゃん、おじいちゃん、知り合いのご両親が介護になって、「特養」に入所したとか「老健」に入っている等‥‥。

 

それでは、「特養」と「老健」の違いはどうでしょうか。

 

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)とは

入所要件は原則要介護3以上

 

福祉系の介護保険施設になります。寝たきりや認知症により生活全般に介護が必要な方で自宅での介護が困難な方が対象で原則要介護3以上になります(※参照 厚生労働省 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

 

有料老人ホームに比べ低料金で利用できるため、地域によっては待機者も多く、すぐに希望通りに入所できるとは限りません。有料老人ホームより低料金といっても一体いくらかかるのでしょうか。費用の目安はおおよそ毎月5万~18万円。

 

具体的には、「介護サービス費用の1割~3割」に「食費・居住費」、に「日常生活費」を加えた金額になります。介護サービス費用は、要介護度、居室のタイプなどによって異なり、また、居住費も居室のタイプによって異なります。

 

基準費用額(施設と利用者の間で契約により決められますが基準となる額が定められています)は多床室の場合、1日855円、ユニット型個室であれば1日2,006円になります。食費の基準費用額は1日1,445円になります。なお、本人あるいは同世帯の所得等によって、「介護サービス費」の自己負担上限額の適応や「食費・居住費」の軽減があります。

 

※介護老人福祉施設とは、老人福祉法第20条の5に規定する特別養護老人ホーム(入所定員が30人以上であるものに限る。以下この項において同じ。)であって、当該特別養護老人ホームに入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことを目的とする施設をいい、「介護福祉施設サービス」とは、介護老人福祉施設に入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話をいう(※参照介護保険法第8条の27 )。

 

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介護老人保健施設(老健)とは?

入所要件は要介護1以上

医療系の介護保険施設です。病状が安定している方に対し、医学的管理のもとで看護、介護、リハビリを行い、在宅復帰を支援する施設です。入所対象者は、原則65歳以上で要介護1以上になります(参照厚生労働省 介護老人保健施設 )。

 

老健は、在宅での生活を目指すのが基本的なスタンスであるため、入所期間は3ヶ月~6ヶ月となっています。また、特養への入所までの一時的な待機施設としても考えておくと良いでしょう。

 

費用の目安は毎月6万~20万円。具体的には、「介護サービス費用の1割~3割」に「食費・居住費」、に「日常生活費」を加えた金額になります。介護サービス費用は、要介護度、居室のタイプなどによって異なり、また、居住費も居室のタイプによって異なります。

 

基準費用額は多床室の場合、1日377円、ユニット型個室であれば1日2,006円になります。食費の基準費用額は1日1,445円になります。なお、本人あるいは同世帯の所得等によって、「介護サービス費」の自己負担上限額の適応や「食費・居住費」の軽減があります。

 

※令和6年8月から基準費用額(居住費)を1日60円アップ、令和7年8月から一部老健の多床室の室料負担が8,000円増改定(介護報酬改定率、多床室の室料負担、基準費用額(居住費) について(報告)令和5年12月27日 厚生労働省 老健局)。

 

※「介護老人保健施設」とは、要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者(その治療の必要の程度につき厚生労働省令で定めるものに限る。以下この項において単に「要介護者」という。)に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設として、第九十四条第一項の都道府県知事の許可を受けたものをいい、「介護保健施設サービス」とは、介護老人保健施設に入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて行われる看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話をいう(※参照介護保険法 第8条の28 )。

 

まとめ

 

「特養」は、生活全般の介護が必要で、原則要介護3以上の方が対象。終の棲家であり、月額費用はおおよそ5万円~18万円。地域のよっては、待機者が多く、数か月以上待つ場合もあります。

 

一方、「老健」は、在宅復帰を目指しリハビリを受けたい方で、原則要介護1以上。入所期間は約3ヶ月~6ヶ月、月額費用はおおよそ6万円~20万円。また、「特養」への入所までの一時的な待機施設としての利用も。

 

福祉系の「特養」と医療系の「老健」では目的や入所期間等の違いがあります。実際に「特養」や「老健」への入所を検討する場合には、施設ごとでもサービス内容に差がありますので、施設見学やパンフレット等で比較検討して確認しましょう。