2025年には認知症の方が700万人になると言われています。親が認知症になると親の財産が凍結されます。例えば、親名義の銀行口座から子供がお金を引き出すことはできません。また、介護費用捻出のために自宅の活用である「リバースモーゲージ」や「リースバック」の利用もできません。このように認知症になり判断能力がなくなると親の財産は凍結してしまいます。親が判断能力のあるうちに対策をする必要があります。今回はそのうちの一つの方法である民事信託(家族信託)の活用についてです。
例えば、母親が一人暮らしで地方に住んでいるとします。実家の所有は母親名義です。母親は最近物忘れが多く、介護認定も受けています。そこで東京在住の息子はそろそろ自宅を売却して介護施設の費用に充てたいと思っています。認知症になり判断能力がなくなると選択肢が限られてくるので心配しています。
母親を委託者兼受益者、受託者を子にします。自宅と若干の金銭を信託財産として信託契約を母親と子で締結します。自宅不動産の名義は息子になりますが、受益者が母親のため贈与税はかかりません。信託設定時には登録免許税のみが、かかります。これで母親が認知症で判断能力がなくなっても息子の権限で自宅の売却が可能です。あくまでも信託の目的を達成するための範囲内であることが必要です。売却した代金も信託財産となり受益者である母親のために使うことが可能となり、介護施設への入居一時金として使うことができます。母親が亡くなった場合には、死亡時に残った信託財産は帰属権利者等が取得することになります。
介護、相続、遺言、家族信託など暮らしのお困りごとから、副業、起業、会社設立、許認可、外国人ビザ申請などビジネスのお困りごとまで