現在(令和3年4月)、夫74歳、妻69歳。夫は会社の健康保険(や共済組合など)の被保険者で、妻はその被扶養者。今年の6月に夫が誕生日を迎えると夫婦の健康保険はどうなるのでしょうか。夫と妻の2人世帯(東京都杉並区在住)で、令和2年中の収入は年金収入のみです(夫:260万円、妻;110万円)。
【夫婦の健康保険について】夫が、75歳になると「後期高齢者医療制度」へ移行(自動的に移行するため加入の手続きは不要)します。「後期高齢者医療制度」には「扶養」という考えがありませんので、69歳の妻は被扶養者として加入していた健康保険や共済組合などを脱退し、国民健康保険(他に加入する健康保険がある場合を除き)への加入手続きが必要となります。
【夫の後期高齢者医療保険料(概算):東京都杉並区在住のケース】
保険料は、被保険者一人ずつで算定し、被保険者全員が均等に負担する「均等割額」と被保険者の前年所得に応じて負担する「所得割額」を合計した額になります。「所得割額」は被保険者の賦課のもととなる所得金額に「所得割率」を乗じた額になります。
算式は以下の通りです。
- 年間保険料=「均等割額」+「所得割額(賦課のもととなる所得金額×8.72%)」
※賦課のもととなる所得金額は、前年の総所得金額等(総所得金額、山林所得金額、株式・土地建物等の長期(短期)譲渡所得金額等の合計)から、基礎控除額(43万円)を控除した額です。
それでは、具体的な計算は以下の通りです。
- 年間保険料(概算)137,400円(100円未満切り捨て)=「均等割額」44,100円+「所得割額」93,304円
- 東京都の場合、令和3年度の「均等割額」(年額)44,100円
- 「所得割額」(年額)93,304円(107万円×8.72%)
(賦課のもととなる所得金額)=前年総所得150万円(年金収入のみ260万-公的年金等控除110万円)-基礎控除43万円=107万円
※東京都後期高齢者医療広域連合のホームページより参照。
【妻の国民健康保険料(概算):東京都杉並区在住のケース】
後期高齢者医療制度の対象となった日の前日まで会社の健康保険など(国保・国保組合は除く)の被扶養者だった方(65歳~74歳の方)は、これまで保険料を納めていなかった経緯から、激変緩和を図るため、国民健康保険に加入した場合には、旧被扶養者減免を受けられる場合(初めて旧被扶養者減免を受ける際は、必ず申請が必要)があります。旧被扶養者減免は、被扶養者であった方(妻)の均等割額の半額に相当する保険料額を加入した月から2年間に限り減免を行い、所得割額は当面の間、全額が減免されます。なお、低所得による均等割額の軽減に該当する場合は、軽減割合の高いほうが優先されます。
- 年間保険料(65歳~74歳)=医療分(所得割額+均等割額38,800円)+後期高齢者支援分(所得割額+均等割額13,200円)
それでは、具体的な計算は以下の通りです。
- 年間保険料(概算)26,000円
- 旧被扶養者減免の場合 均等割額26,000円{(38,800円+13,200円)×50%}、所得割額0円
※杉並区ホームページより参照
※令和3年度につきましては、実際には年間保険料を月割計算します。
詳しくは現在加入中の健康保険組合やお住まいの自治体にお尋ねください。