
介護費用の不安を解消する3つのポイント
- 介護費用を含めた将来収支や資産を予想する(在宅や施設、施設でも有料老人ホームでも異なります)
- 公的介護保険制度などの把握(年金収入等で負担割合1~3割、軽減制度もあります)
- 家族間での役割分担や協力体制、地域包括支援センター等の積極的な利用など
介護費用を含めた将来収支や資産の把握

介護費用の不安を軽減するためには、将来の資金計画を正確に理解し、しっかり準備することが重要です。
特に、介護が必要になる時期や費用を考慮したライフプランの作成が欠かせません。ただ、いつ介護になるかは誰も分かりません。一般的には、80歳以降にリスクが高まると考えてよさそうです。
まずは以下のステップから始めましょう
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ライフプランを作成する
将来の重要なイベントや介護にかかる費用を明確にします。 -
キャッシュフロー表を作成する
生涯にわたる収支を確認し、資金の流れを可視化します。
無料のソフトを利用すれば、キャッシュフロー表を簡単に作成できます。インターネット上には多くのツールがあり、手軽に将来の資金計画を立てられるので、多忙な方にもおすすめです。
計画作成時の注意点
ライフプランを策定する際には、以下のポイントに注意してください:
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優先順位を明確にする
将来の希望や目標を整理し、何を優先するか決めましょう。 -
リスク許容度を把握する
資産運用を検討する場合、自分に合ったリスクとリターンのバランスを考えます。 -
具体的なゴールを設定する
達成したい目標を数値化し、計画に反映します。 -
物価上昇率や経済変動を考慮する
費用が増える可能性も視野に入れ、柔軟な計画を立てましょう。 -
定期的な見直しを行う
年に1回は計画を見直し、状況の変化に対応します。
介護費用を含む資金計画をしっかり立てることで、不安を大きく軽減できます。
公的介護保険制度などの把握

介護費用がどの程度かかるのかを理解し、その上で介護保険制度の基本を把握することが非常に重要です。
具体的には、自分や家族の生活スタイルに基づいて、どのような介護が必要なのか、必要な費用感はどのようなものかを具体的にシミュレーションしてみることが有効です。
例えば、施設入所を考えた場合
- 公的施設である特別養護老人ホームに入所すると6万円~15万円程度です。
- 有料老人ホームはピンキリです。
介護保険制度は2000年にスタートしました。改正を重ねてきており、当初は介護サービスの自己負担が1割負担でしたが、現在では所得によって1割から3割に変動する仕組みになっています。
この改定により、高所得者層はより多くの負担が求められています。一方、低所得者層はその仕組みによって少しでも安心してサービスを利用できるよう配慮されています。
公的介護保険サービスを受けるためには、医療保険とは異なり、介護保険証を提示すると受けられるものではありません。要介護(要支援)認定を受ける必要があります。
介護認定を受けて介護を受ける場合、「在宅介護」か「施設介護」かで費用は変わってきます。施設でも「公的施設」なのか「有料老人ホームなどの民間施設」に入居するのかでも費用は異なります。
在宅(居宅)で提供される介護サービスに関しては、「区分支給限度額(介護サービスに使える公的な上限金額)」が要介護認定の区分ごとに明確に定められています。
この限度額を超えてサービスを利用する場合、超過した分は全額自己負担となるため、予算計画を立てる際にはこの点に十分な留意が必要です。
また、具体的には、どのようなサービスが限度額に含まれるか事前に確認し、利用方法を工夫し、無駄な出費を抑えることができます。
もし、実際に介護になった場合は、ケアマネジャーが予算の範囲内でケアプランを立てもらうことが可能です。
1カ月でかかった介護サービス費が高額になった場合には、自己負担限度額を超えた部分は払い戻される高額介護サービス費があります。
所得に応じて限度額は変わってきます。一般世帯では月額44,400円です。
その他にも住民税非課税世帯の人には、公的介護保険施設に入所した場合には、「食費・居住費」が軽減される補足給付もあります。
ただし、預貯金等の要件もありますので注意が必要です。
つまり、多くの預貯金などを持っている場合は、対象外になります。
また、自宅などの不動産や生命保険も預貯金等の対象外です。
さらに、医療費と介護費用がかかった世帯には軽減制度として「高額医療・高額介護合算制度(医療費と介護費用を合わせた負担軽減制度)」があります。
注意点としては同じ医療保険制度でなければ合算されないということです。
基本的には、対象者には通知などで知らされます。知らされた後で、申請を忘れないようにすることが大切です。
お住まいの地域自治体では、地域特有の介護支援サービスや助成制度が設けられている場合があります。
これらのサービスは地域によって異なるため、あらかじめ役所や福祉関連の窓口に問い合わせを行い、どのような支援を受けられるのか事前に確認することが非常に重要です。
税金の関係では、医療費控除や障害者控除の適用の可否も調べておくと良いでしょう。
特に、障害者控除では、障害者手帳を持っていない65歳以上の高齢者の場合でも該当になる場合があります(障害者控除対象者認定書という)。
ただし、自治体によって基準が違うので、介護認定を受けた場合は、念のため介護保険課で申請を行いましょう。
特に、子どもが親を税務上扶養にいれていると子どもの所得税・住民税が軽減されます。さらに年金だけ収入で住民税課税の親であっても、年金収入240万円以下であれば、親は非課税になりますので、申請してみましょう。
家族間での役割分担や相談先は専門の窓口で

家族間で介護に対する明確な役割分担や協力体制を確認することが重要です。
このプロセスでは、各家族メンバーが自分の役割を理解し、責任を持てるようにすることが不可欠です。
例えば、親の介護を考慮する場合、近くに住む子どもが主に介護を担当することが多く、日常的な世話を行うことで親を支援するケースが一般的です。
ただし、近くに住む家族の負担が偏らないようにするため、遠方の家族もできる限り協力することが大切です。
具体的には、訪問スケジュールを共有する、親が必要とする物品を送付するするなど、様々な方法があります。
また、遠方に住んでいる子どもについては、仕送りを増やすことで親の生活を支えることができます。
ただし、経済的な支援が難しい場合でも、家族間でよく話し合い、できる範囲で精神的なサポートを行うことが重要です。
たとえば、定期的な電話やビデオ通話を通じて親の状況を確認することも有効です。
さらに、協力体制を明確にするために、取り決めたルールや役割を合意書などの文書として残すことが効果的です。
これにより、家族全員が合意内容を確認できるため、各自の責任を認識しながら納得して進めることが可能になります。
ただ、状況は変わっていきますので、年に1回か2回取り決めた内容を見直すことで現状に即したものとなります。
介護が必要になった場合、まず最初に相談するべき存在として地域包括支援センターがあります。
地域包括支援センターは、介護に関するさまざまな疑問や手続きについて専門的なアドバイスを提供し、必要なサービスを案内してくれます。※参照地域包括支援センター厚生労働省)
介護に関しては「知らない」を理由になかなか行動にうつせないかもしれませんが、地域包括支援センターなどを積極的に活用することで安心感を得ることができます。
小さな一歩を踏み出すことが、介護への不安を軽減する大きな助けとなるでしょう。
まとめ
介護費用の不安を解消する3つのポイント
介護費用への不安を軽減するためには、将来の資金計画をしっかりと立てることが不可欠です。そのために、次の3つのポイントを押さえましょう
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介護費用を含めた将来の収支や資産を予測する
現状の収支や資産を整理し、将来どの程度の介護費用が必要になるかをシミュレーションしましょう。 -
公的介護保険制度の理解を深める
公的介護保険は多くの場面で助けになります。制度内容やサービスを把握しておくことで、無駄なく活用できます。 -
家族間の役割分担や地域の支援を活用する
家族と事前に役割分担や協力体制を話し合い、地域包括支援センターなどの相談窓口を積極的に利用しましょう。
介護の準備は一人で悩まず、家族や専門家と一緒に進めることが安心につながります。
具体的なアドバイスやシミュレーションが必要な方は、ぜひ当事務所にご相談ください。あなたの未来をサポートするために、全力でお手伝いします。
また、介護や生活に関するさまざまなテーマについて、介護ポストセブンでも取り上げています。こちらの記事もぜひご覧ください。
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