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80代の親の介護費用…一部でも軽くする制度と備え方のヒント

「親の介護費用がかさんで家計が苦しい」「できるだけ制度を活用して費用負担を減らしたい」

そんな悩みを抱えている方は、少なくありません。

 

実際、介護保険サービスの自己負担や施設の入所費用、医療費など、介護にかかるお金は決して安くはありません。

 

特に、介護が長期化すれば、介護費用が1000万円を超えることも珍しくないのが現実です。

 

生命保険文化センターの2024(令和6)年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、一時費用が47万円、毎月の介護費用が約9万円、介護期間が55カ月という結果が示されています。

 

そのため、まずは「費用を少しでも軽くできる制度を知りたい」と思うのは自然なことです。

 

たとえば、高額介護サービス費制度医療費控除障害者控除など、一定の条件を満たせば活用できる制度はいくつかあります。

 

これらを利用することで、一定の経済的な負担軽減は期待できるでしょう。

 

しかし、これらの制度を利用できたとしても、介護が長期化した場合、本当に安心といえる備えになるでしょうか。

 

サービスにかかる利用料 厚生労働省


制度では解決できない「将来のリスク」

介護費用の悩みは、多くの場合、「今の負担をどうにかしたい」という思いから始まります。

 

私自身も、まさにそうでした。

 

当時、介護に関する書籍はいまみたいに多くなく、ネットで情報を集め、40ページ程度の小冊子を1万円強で購入したこともあります。

 

また、介護者支援の団体にも参加し、様々な情報を得ようと努力しました。

 

これらの経験は非常に参考になり、今でも有益だったと感じています。

 

しかし、費用を軽減する制度を知ることに加えて、もう一つ重要な視点があります。

 

それは、「親のお金が自由に使えなくなるかもしれない」というリスクです。

 

 

介護が始まったからといって、すぐに親のお金が使えなくなるわけではありません。

 

ですが、もし親が認知症などで判断能力が低下すると、預金の引き出しや不動産の売却などといった手続きができなくなってしまいます。

 

実際、介護の主な原因として最も多いのは認知症です。※参考 2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況

 

認知症などで判断能力が低下した場合、介護施設の入居一時金や在宅介護のためのリフォーム費用など、まとまった費用が必要になった際に、「親のお金なのに自由に使えない」という状況に直面するご家族は少なくないでしょう。

 

このような場面では、子どもが一時的に自分のお金を立て替えなければならないこともあり、生活に余裕がない中で経済的な負担を感じることが少なくないのです。


今こそ考えたい「3つの将来対策」

親の介護に向き合うとき、経済的な不安を軽減する制度の活用だけでなく、財産管理や相続といった面にも備えておく必要があります。


将来の不安や負担を少しでも軽くするためには、「今からの準備」がとても大切です。

 

そこで今回は、安心して介護に向き合うために、特におすすめしたい3つの対策をご紹介します。

 

任意後見契約

 

任意後見契約は、親の判断能力が低下したときに備えて、あらかじめ信頼できる人(例えば、子どもなど)が親の財産管理や身上保護などを行えるようにする仕組みです。

 

元気なうちに契約を結んでおくことで、いざというときにスムーズに財産を守り、親の意向に沿った対応ができます。

 

民事(家族)信託

 

民事信託は、親の財産を特定の家族が管理・運用できるようにする信託契約です。

 

任意後見契約よりも柔軟に財産を管理・活用でき、例えば「自宅を売却して介護費用に充てる」といった形で、必要に応じて財産を有効に活用できます。

 

親が安心して暮らせるよう、柔軟な管理方法を確保できる一方、身上保護の役割はないため、任意後見制度と併用することも検討してみましょう。

 

遺言書の作成

相続に関する争いを避けるために、遺言書の作成をおすすめします。

 

親が何も決めていなかったために、兄弟間で争いが起きることがよくあります。

 

特に介護に関わった家族と、関わらなかった家族との間で不公平感が生まれることがあります。

 

遺言書を残しておくことで、そうした争いを未然に防ぎ、相続手続きをスムーズに進めることができます。

 

ご相談やお問い合わせは、下記のボタンからお気軽にどうぞ。


介護費用の軽減は「制度」+「将来対策」のセットで

介護費用の負担を減らすためには、短期的な視点と長期的な視点の両方が欠かせません。

 

まずは、国などの軽減制度を最大限に活用して、現在の費用負担を少しでも和らげることが大切です。

 

それと同時に、「親のお金が使えなくなるリスク」や「家族間トラブルによる余計な出費」を防ぐために、将来を見据えた備えも重要になります。

 

実際、公的な軽減制度を活用しつつ、任意後見や家族信託、遺言書の作成を検討される方もいらっしゃいますが、どの対策が最適かはご家族の状況や考え方によって異なります。

 

例えば、民事(家族)信託を選んだ結果、期待していた通りに進まなかった場合もありますので、慎重に検討し、ご家族の状況に最適な方法を選ぶことが大切です。

 

介護費用の問題は、「今」のお金だけでなく、「将来」への備えも含めて考えることが重要です。

 

ご相談をご希望の方は、下記のボタンよりお気軽にお問い合わせください。

 

ご家族の状況に合わせた対策を一緒に考えてまいりましょう。

 


また、もし今、親の介護が心配なら、ぜひ一度、「介護とお金そなえプラン」を検討してみてください。

 

あなたとご家族の未来の安心をサポートします。

 

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介護や生活に関するさまざまなテーマについて、介護ポストセブンでも取り上げています。こちらの記事もぜひご覧ください。

 

メディア掲載実績
私のコメントや情報提供を行った記事が、以下のメディアに掲載されています。詳しくはこちらをご覧ください。

 

【過去の一部の相談事例】

・介護費用がどれくらいかかるのか不安(50代女性)

・親の遺言書・生前贈与について(40代男性)

・資産運用について基本を整理したい(60代女性)など

・介護費用に関連する補足給付について(50代女性)

・医療費控除の概要について(50代女性)

・親の有料老人ホームの費用に関するキャッシュフロー表作成(50代夫婦)

・親の収入や資産から子どもへの援助に関するキャッシュフロー表作成(50代女性)

・親の保険と介護費用に関するご相談(50代女性)

・自宅の民事信託の活用と概要について(50代男性)

・所得控除と介護費用の関連について(60代女性)

・金融機関の解約手続きについてのご相談(60代女性)

・遺産分割協議書の作成に関するご相談(60代女性)

・親の介護費用と一時払終身保険の活用について(50代女性)

・老後資金のキャッシュフロー表作成(60代男性)

・年金受給に関するご相談(60代男性)など


親の介護、準備できていますか?チェックリスト10

「親が後期高齢者になったけど、何を準備すればいいかわからない…」

そんな方のために、今すぐできるチェックリストをご用意しました!

 

親の年金額と貯蓄額を把握している

親が要介護になった場合、どのくらいの費用がかかるか試算したことがある

介護費用をどこから出すのか決めている(親の資産・子どもの援助など)

親の銀行口座や財産を管理する方法(家族信託・成年後見など)を考えている

親が認知症になったときの財産管理・手続きをどうするか決まっている

介護施設に入る場合の費用や条件を調べたことがある

介護費用の公的支援制度(高額介護サービス費・税控除など)を理解している

兄弟姉妹と介護費用や負担について話し合ったことがある

介護が必要になったとき、誰が主に対応するのか家族で合意している

親と「介護が必要になったときの希望」について話したことがある

 

いざというときに困らないために、今のうちに対策を進めましょう!