親の介護が必要になったとき、真っ先に考えなければならないのが介護費用の確保です。
しかし、親がリスクの高い投資をしており、その資産をどうするべきか悩んでいる方も少なくありません。「このまま投資を続けるべきか?」「損失が出たら介護費用が足りなくなるのでは?」と不安に思う方のために、投資を見直すポイントや、安全な資産管理の方法について解説します。
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親の投資状況を正しく把握する
まず、親がどのような投資を行っているのかを確認することが重要です。以下のポイントをチェックしましょう。
- 投資商品の種類
個人向け国債、社債、株式、投資信託、FX、仮想通貨、不動産など
- 運用目的
長期投資なのか、短期売買なのか
- 現在の評価額
含み益・含み損の状況
- 流動性
すぐに現金化できるか
- リスクの大きさ
値動きが激しいか、安全性の高い商品か
これらを確認した上で、介護費用として活用するための選択肢を考えていきます。

投資を続けるべきか、やめるべきか?判断基準
親の投資を見直す際には、次の基準を考慮しましょう。
【続けてもいいケース】
- 資産が十分にあり、余裕資金で運用している場合
- 安定した配当金や分配金があり、介護費用の一部に充てられる場合
- 長期保有が前提の低リスク資産(国債や高格付け社債など)が中心の場合
【売却を検討すべきケース】
- 生活資金や介護費用に必要な現金が不足している場合
- 高リスクな投資(FX、信用取引、仮想通貨など)を行っている場合
- 投資の管理が難しくなり、本人の判断能力がやや低下している場合
この基準をもとに、親と相談しながら方針を決めることが大切です。
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介護費用を確保するための具体的方法
介護にかかる費用は状況によって全く異なりますが、以下、おおまかな目安になります。
- 介護期間:61.1カ月
- 介護費用:平均月8.3万円(在宅介護:平均月4.8万円、施設介護:平均月12.2万円)
- 一時的な費用:74万円
※参照 生命保険文化センター 「2021(令和3)年度 生命保険に関する 全国実態調査」
これらを単純に次のように計算すると約580万円になります。
介護費用=74万円+(8.3万円×61カ月)
この試算をもとに、投資資産をどのように活用するか検討しましょう。
- リスクの高い投資を整理し、安全資産に移行する
介護費用の確保が最優先である場合、値動きの激しいリスクの高い資産は売却し、以下のような安全資産に移行するのが賢明です。
- 普通預金・定期預金:流動性が高く、いつでも引き出せる
- 個人向け国債:元本保証があり、安定した利息が得られる
- 介護保険の活用:すでに加入している保険を確認し、活用できるものがないか調べる
- 民事(家族)信託や後見制度の活用
親が投資を続けたいと言っても、判断能力が低下するとリスクが高まります。そうした場合には、親が元気なうちに、以下の制度を活用するのも一つの方法です。
- 民事(家族)信託
家族が資産管理し、必要に応じて売却・運用が可能。ただし、対応している証券会社は限られており、制約や留意事項もありますので、詳しくは証券会社にお問い合わせください。
- 成年後見制度
任意後見制度を活用し、判断能力が低下した場合に、自分で選んだ後見人が資産管理を行う。ただし、成年後見制度では資産を増やすのではなく、財産の維持が基本です。そのため、安全性の高い商品で元本を守ることを優先する必要があります。
こうした制度を活用することで、親の資産を守りながら介護費用を確保できるでしょう。
まとめ
親がリスクの高い投資をしている場合、まずは現状を把握し、介護費用を確保するための対策を考えることが大切です。
- 介護費用が足りない場合、高リスク資産の売却を検討する
- 安全資産へ移行し、安定した資金管理を行う
- 民事(家族)信託や任意後見制度を活用し、適切な資産管理をする
親の介護と資産管理は、家族で協力しながら進めることが重要です。早めに話し合いをし、将来の安心を確保しましょう。
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