「退職金が入ったから、とりあえず安心」
そう感じる方は少なくありません。しかし、50代・60代のご相談では、「思った以上にお金が減っていく」「年金生活になっても支出が変わらない」「もっと早く見直しておけばよかった」という声をよく聞きます。
老後資金の問題で多いのが、すぐには「生活レベルを落とせないこと」です。
現役時代は毎月の給与やボーナスがあり、ある程度自由にお金を使うことができました。しかし退職後は、多くの場合、年金と貯蓄の取り崩しが生活の中心になります。
それでも、現役時代と同じ感覚で外食や旅行、車の維持費、子どもや孫への援助などにお金を使い続けてしまうケースがあります。
一つ一つは大きな支出ではなくても、老後はその生活が10年、20年と続く可能性があります。気づかないうちに貯蓄が減っていき、不安が大きくなる方も少なくありません。
毎月以外に発生する支出に注意
老後資金を考える時に見落としやすいのが、「毎月以外に発生する支出」です。
例えば、固定資産税や自動車税、車検費用、火災保険、家の修繕費、給湯器やエアコンの買い替えなどは、毎月の家計には見えにくい支出です。
しかし、実際には年に数回まとまったお金が必要になります。「毎月は赤字ではないのに、お金が減っていく」という方は、こうした支出が原因になっていることも少なくありません。
特に、持ち家や車を所有している方は、現役時代と同じ感覚でいると、老後の家計に大きな負担になることがあります。
退職金の運用や保険の加入で後悔するケースも
最近はNISAなどの影響もあり、「退職金を運用した方が良いのでは」と考える方も増えています。
もちろん、資産運用そのものが悪いわけではありません。しかし退職後は、現役時代よりも失敗を取り戻す時間が限られています。
十分理解しないまま、高利回りの商品やリスクの高い投資を始めてしまい、後悔するケースもあります。
また、退職金を受け取ったタイミングで、金融機関や保険会社から運用型の保険商品を勧められるケースも少なくありません。
例えば、
- 一時払い終身保険
- 外貨建て保険
- 変額保険
などです。
「預金より増える」・「相続対策になる」・「老後に安心」と説明を受け、加入を検討する方もいます。
もちろん、商品そのものが悪いわけではありません。しかし、仕組みやリスクを十分理解しないまま加入し、後悔するケースもあります。大切なのは、「なぜ加入するのか」という目的を明確にすることです。
例えば、
- 相続対策をしたいのか
- 万一への備えを重視したいのか
- 老後資金を安定的に準備したいのか
によって、選ぶべき商品や考え方は変わります。「勧められたから」「何となく安心そうだから」ではなく、自分たちの老後資金全体の中で、本当に必要なのかを考えることが重要です。
また、退職後は急な介護費用や医療費など、まとまったお金が必要になる可能性もあります。
そのため、退職金をすぐに「長期間引き出しにくい保険商品」へ入れてしまうと、後から困るケースもあります。
私自身、生命保険業界で長く働いてきましたが、老後のお金では、「増やすこと」だけではなく、「必要な時に使えること(流動性があること)」も非常に重要だと感じています。
退職金は、「余ったお金」ではなく、これからの生活を支える大切なお金です。
焦って、リスクの高い運用や一定期間内に解約する元本割れする可能性がある保険商品への加入を決めるのではなく、自分たちの生活費や、将来必要になる可能性のある介護費用なども含めて、慎重に考えることが大切です。
親の介護で想定外のお金が必要になることも
さらに、老後資金で見落とされやすいのが親の介護です。
介護は、ある日突然始まることがあります。私自身も両親の介護を経験し、「老後資金は自分たちの生活費だけ考えていても足りない」と実感しました。
介護では、施設費用だけではなく、医療費や実家の整理、通院の付き添い、家族の交通費など、想像以上にお金がかかることがあります。
また、介護が長期化すると、老後資金を取り崩すスピードが早くなるケースもあります。退職金を使う時は、「今使うお金」だけではなく、「将来必要になるかもしれないお金」も考えておくことが大切です。
老後資金で大切なのは「長く続けられる生活」
老後は、「いくら持っているか」だけではなく、「その生活を長く続けられるか」が重要になります。
特に50代以降は、
- 退職後の生活費
- 親の介護
- 認知症への備え
- 相続
- 自分自身の老後資金
など、考えなければならないことが増えていきます。しかし、実際には、
「まだ大丈夫だと思っていた」
「親が元気だったので何も準備していなかった」
という状態で、突然介護や認知症の問題に直面するケースも少なくありません。私自身も両親お介護を経験しましたが、介護が始まると、
- 施設費用
- 医療費
- 実家の管理
- 家族の負担
- 親のお金の管理
など、想像以上に多くの問題が一気に発生します。
特に認知症になると、預金が動かしづらくなり、相続対策や財産管理が思うように進まなくなることもあります。「もっと早く準備しておけばよかった」という声は少なくありません。
当事務所では、老後資金だけではなく、
- 親の介護費用
- 認知症への備え
- 財産管理
- 相続対策
まで含めてご相談をお受けしています。「退職後のお金が本当に足りるのか」「親の介護が始まった時に対応できるのか」「今のうちに何を整理しておくべきか」を確認しておくだけでも、将来の負担は大きく変わります。
実際に、介護や認知症が始まってからでは、選択肢が限られるケースもあります。「まだ大丈夫」と思える今のうちに、一度整理してみませんか。
