介護は突然始まります。
私の場合もそうでした。
たった「1本の電話」で、「親の介護」が始まりました。
すぐに帰省しようにも、交通手段は限られ、何時間もかかります。
「早く帰らないと」という焦りしかなく、親の様子はわからず、何を持って帰ればいいのかも分からない。
必要な書類の場所も、誰に連絡すればいいかも把握できておらず、家族もすぐには集まれず、ただ慌ただしく動き回るばかりでした。
この経験から痛感したのは、「元気なうちに最低限の備えはしておくべきだった」ということです。
介護は、「脳梗塞で倒れた」「転倒して骨折した」「急に認知症が進んだ」といったように、ある日突然始まることがほとんどです。
その瞬間から、本人だけでなく家族全体の生活が激変します。
「親も高齢だけど、まだ元気だし、もう少し先でもいいかな」
そう思っている方も多いですが、それは非常に危うい考え方です。
実際に介護が始まってからでは、「どこに相談すればよいか分からなかった」「もっと早く準備しておけばよかった」と後悔される方が少なくありません。
特に、次のような不安を感じている方は、いま動くことが重要です。
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親の介護費用はどうすればいい?
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相続や費用分担で家族と揉めたくない
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民間の介護保険って入ったほうがいいの?
「いつかやろう」が一番危険です。
介護や相続の問題は、時間とともに取れる選択肢が減っていきます。
いざ問題が起きたとき、備えていなければ「打つ手がない」という状況にもなりかねません。
大切なのは、「何も起きていない今」のうちに、将来の見通しを立てておくこと。
具体的には、介護費用や相続も含めたライフプランを作成し、「我が家の場合はどうか?」を見える化して、整理しておくことです。
将来を可視化し、話し合うきっかけをつくるだけで、家族の安心感は大きく変わります。
準備は、できるときにしかできません。
時間がない方は、介護経験のあるファイナンシャルプランナー(FP)に相談するのも一つです。
「今はまだ大丈夫」が一番危ない!

介護が始まった直後には、要介護認定やケアマネジャーとの調整など、やるべきことが山ほどあります。
さらに、その時点で「お金のこと」まで冷静に考える余裕はあまりありません。
たとえば、施設に入るのか在宅介護にするのか、誰がどの程度介護に関わるのか、本人のお金でどこまで費用をまかなえるのか。
これらは事前に準備していればスムーズに進められることばかりですが、事後では選択肢が限られてしまいます。
つまり、「まだ介護が始まっていない今」こそ、将来起こりうる状況を見据えて、家族として何を考え、どう備えるかを整理するベストなタイミングではないでしょうか。
ファイナンシャルプランナー(FP)ができること

ファイナンシャルプランナー(FP)は、収入・支出・貯蓄・保険・公的制度や軽減制度、介護費用、医療費など、家計全体を見渡しながら将来の対策を考える専門家です。
介護がまだ始まっていない段階だからこそ、冷静かつ計画的に備えるためのサポートが可能です。
たとえば、親の年金や貯蓄でどこまで介護費用をまかなえるかを確認したり、将来的に必要となりそうな費用をざっくりと試算したりします。
また、認知症になる前であれば、任意後見契約や家族信託など、財産管理や預貯金の使い方についての準備も検討できます。
さらに、民間の介護保険に加入するか迷っている場合でも、FPなら中立的な立場で制度・自己資金・保険のバランスを客観的に見ながら、無理に保険を勧めることなく、必要な備え方を一緒に考えられます。
※医療保険や民間介護保険等の「お得感」を感じるポイントとは?
FPのライフプラン作成は、親の介護費用や本人の介護費用に加え、成年後見制度や家族信託、遺言など終活に関連する費用も盛り込み、将来の不安を「見える化」して軽減することができます。
※将来の暮らしとお金を『見える化』!ライフプランで始める安心準備
子ども世代の家計にも影響する親の介護

親の介護というと「親のお金でまかなうもの」と考えがちですが、実際には子ども世代の負担も少なくありません。
とくに遠距離介護になると、実家への交通費や宿泊費、帰省時の食費などの出費が重なります。
さらに、紙おむつや日用品の購入、施設の入居金の一部を立て替えることもあり、思いがけない支出が積み重なって家計に影響を与えることもあります。
少しでも費用を軽減したいと考えるのは当然のことです。
なかでも遠距離介護では交通費の割合が大きいため、飛行機を使う場合は早割を活用したり、高速バスを利用したりと工夫が必要です。
ただし、高速バスは体への負担も大きいため、すべてをバスに頼るのではなく「2回に1回だけ使う」など無理のない方法を取り入れることが現実的でしょう。
また、認知症などで親が金銭管理できなくなった場合、介護サービスなどの費用を子どもが一時的に肩代わりする場面もあります。
相続発生後に備えて、立て替えた費用の領収書はしっかりと保管・整理しておくことをおすすめします。
さらに、介護のために仕事をセーブしたり離職を余儀なくされると、収入が減少するだけでなく、再就職のハードルも上がります。
年齢が上がったあとに再び職を探すのは想像以上に大変で、なかなか決まらなければ貯蓄の切り崩しが続き、老後資金にも大きく影響します。
離職を選ぶ前に、いったん立ち止まって家計全体を見直すことが大切です。
介護には、こうした「将来の自分への負担」も含まれているのです。
これらの費用は、「いずれ親の口座から戻してもらうつもりだった」が実現しないまま終わることも多く、結果的に子ども世代の家計を圧迫します。
介護費用は親だけの問題ではなく、家族全体の生活設計に関わるテーマです。
だからこそ、「我が家としてどこまで負担できるか」を早めに話し合い、現実的な線引きをしておくことが、将来の安心につながります。
まとめ:相談は、「いま」が最も価値あるタイミング

介護の備えは、介護が始まってからでは手遅れになることもあります。
親が元気なうちに、子ども世代ができることを整理しておくことが、後悔のない選択につながります。
そのためには、ファイナンシャルプランナーと一緒にライフプランを作成し、収入や支出、介護費用の見込みを「見える化」することが大切です。
具体的な数字や将来のシナリオを可視化することで、不安を具体的な対策に変えやすくなります。
ファイナンシャルプランナーは、制度や保険の知識に加えて、家計全体を見通す視点を持っています。
「うちの場合はどうなるのか?」という具体的な悩みに寄り添い、将来の不安を一緒に整理することができます。
もし、介護について漠然とした不安を感じているなら、「まだ何も起きていない今」だからこそ、どうぞお気軽にご相談ください。
また、介護や生活に関するさまざまなテーマについて、介護ポストセブンでも取り上げています。こちらの記事もぜひご覧ください。
メディア掲載実績
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