民間介護保険は本当に必要?60代からの民間介護保険のメリットと注意点

人生の節目でライフプランを見直すことは非常に重要です。

 

例えば、子どもが独立したり、定年退職を迎えるタイミングなどでは、これまでの生活環境が大きく変わります。

 

このような変化に合わせて、保険の見直しや加入の検討を行うのは、非常に賢い選択と言えるでしょう。

 

特に、すでに生命保険に加入している場合は、その必要性や内容を再度見直しをしてみる好機です。

 

保険に加入する理由は人それぞれですが、「払ったお金より多くの保障を受け取りたい」という期待から加入する人もいるでしょう。

 

もしくは、少しでも足しになればと思って加入する人もいるでしょう。

 

しかし、保険の本質は、リスクに備えるためのものであり、過剰な保障や不十分な保障を避けるために、必要な保障額を適切に選ぶことが大切です。

 

民間介護保険においては、各保険会社によって給付要件や保障内容などがまちまちです。

 

民間介護保険の保障内容は、介護が必要になった場合のリスクを軽減し、生活の質を守るために非常に大きな役割を果たしますが、実際に保険を選ぶ段階ではいくつかのポイントを慎重に考慮する必要があります。


民間介護保険に60代になって加入するメリット・デメリット

まず、民間介護保険に加入するタイミングについて考えてみましょう。

 

特に60代になってからの加入には、メリットとデメリットがそれぞれ存在します。

 

例えば、60代で終身払いの民間介護保険に加入した場合、その後の介護リスクに備えて、毎月一定の保険料を支払い続けます。

 

この段階で加入する最大のメリットは、早い段階で介護が必要になった場合ではないでしょうか。

 

支払った保険料よりも多くの給付金を受け取ることができる可能性があります。

 

また、保険に加入したことで、万が一の時に備えた安心感を得られることも大きな魅力です。

 

早期に介護が発生した場合、保障面では非常に有利な選択肢となり、将来に対する安心感を確保するための重要な手段となります。

 

しかも、保険会社からの給付金は自分の預貯金から出していないため得」をしたような感覚になることがあります。

 

保険に加入していない場合は、自分の預貯金から介護費用を捻出することになり、資産が目に見えて減ってしまいます。

 

しかし、実際には長年保険料を支払い続けているため、多くの人にとっては支払った保険料の総額の方が多くなります。

 

一方で、介護が必要になるまでの期間が長かった場合(例えば、85歳で介護になった)、支払った保険料総額は決して安い金額ではありません。

 

例えば、60歳で加入し、85歳で介護になり、仮に毎年亡くなるまで介護年金を受け取るタイプの保障であっても、すぐに亡くなった場合、支払った保険料の方が多くなります。

 

最終的には自分で貯蓄しておけばよかったと思う可能性もあります。

 

この点が民間介護保険を選ぶ際の難しさでもあり、長期間保険料を支払い続けることを考慮しなければならない部分でもあります。

 

民間介護保険に加入した場合、その後の保険料負担や保障内容、将来の介護の実際にかかる費用などを総合的に考慮しながら、最適な保険選びをする必要があります。


民間介護保険の掛け捨てタイプと貯蓄性タイプの違い

民間介護保険には、「掛け捨てタイプ」と「貯蓄性のあるタイプ」の2つの主な選択肢があります。

 

それぞれの特徴を理解することが、加入を検討する際に重要です。

 

掛け捨てタイプは、保険料が比較的安く設定されているのが特徴です。

 

しかし、保障期間が終了すると、それ以降の給付金は一切受け取ることができません。

 

安い保険料で一定期間にリスクに備えることができるため、仮に、早期に介護が発生した場合には、コストパフォーマンスが良い選択肢と言えます。

 

ただし、掛け捨てタイプの最大のデメリットは、途中で解約した場合や期間が満了しても保険料は返金されない点です。

 

一方、貯蓄性のあるタイプは、長期間契約を続けることで解約返戻金や積立金があるため、将来的に介護にならなかった場合でも、解約すればお金が全く戻ってこないわけではなく、生活資金の足しになります。

 

しかし、掛け捨てタイプに比べて保険料が高くなる傾向があります。

 

貯蓄性を重視する人は、保険料が高いため、継続して払い続けることが可能か否かを十分に考慮する必要があります。


早期介護リスクに備える意味

早期に介護が必要になった場合のリスクにどう対応するのがいいでしょうか。

 

例えば、60代半ばなどで突然介護が必要になった場合、民間介護保険に未加入であると、急遽貯金や年金でその費用を賄わなければなりません。

 

子どもなど家族からの支援に頼らざるを得ないこともあるでしょう。

 

一方で、民間介護保険に加入していれば、保険からの給付金を活用して、急な支出に備えることができるため、経済的な負担を大きく軽減できます。

 

民間介護保険の大きな利点の一つと言えるでしょう。

 

たとえ貯金が少なくても、万が一の際に給付が受けられるという点で、未加入よりも圧倒的に安心感があります。


85歳以降に介護が必要になるケースも想定する

85歳以降に認知症が発症した場合を考えてみましょう。

 

この年齢を超えてから介護が必要になった場合、それまでに長期間にわたり保険料を支払っている可能性があります。

 

給付要件を満たしている場合、介護年金タイプの保険であれば、毎年給付金を受け取ることができます。

 

しかし、重要なのはその受給期間です。

 

もし、介護が始まって(受給要件を満たして)からすぐに亡くなった場合、受け取る給付金が支払った保険料より少なくなる可能性があります。

 

一方で、民間介護保険に加入していない場合、85歳以降に介護が必要になった際に十分な貯金がないと、家族などの支援に頼らざるを得なくなるかもしれません。

 

参考までに、85歳時点の令和5年平均余命は、男性6.29年、女性8.33年です。

 

男性では、6~7年分の介護費用、女性では8~9年分の介護費用を貯金で貯めておくと安心かもしれません。

 

また、現在60歳であれば、85歳まではまだ25年あります。

 

運用期間としては十分な時間があるため、NISAなどを活用して資産を積み立てておく方法も検討できます。


投資には臆病なのに保険には寛大な理由

ここで少し触れておきたいのが、投資に対する不安と保険に対する寛大さの違いについてです。

 

多くの人が投資に対しては臆病になる一方で、保険には比較的寛大な傾向があります。

 

投資はリスクを伴う行為であり、損失が発生する可能性があるため、「お金が減ってしまうのでは?」という不安を抱えやすいものです。

 

一方で、保険に対しては、いざという時のリスクに備えるために、その「イザ」が近い将来に訪れると考え、支払った以上にもらえるものだと錯覚してしまうことが多いのではないでしょうか。

 

そのため、保険には比較的安心感を持っている人が少なくないのでしょう。

 

保険は確かにリスクを減らす手段として非常に有効ですが、支払った保険料が無駄になってしまう可能性もある点は忘れてはいけません。

 

それでもなお、多くの人が保険に対して寛大でいられるのは、「もしもの時の不安を確実に軽減しておきたい」という気持ちの表れだといえるのではないでしょうか。

 

また、給付金を受け取った場合、自分の預貯金を使わずに済むため、「得をした」という感覚になることもあるのではないでしょうか。

 


まとめ

民間介護保険に加入するタイミングを考える際には、自分の年齢や将来のリスクをしっかり見越し、掛け捨ての安価な保険と、貯蓄性のある保険の違いを理解しておくことが重要です。

 

特に、介護費用の備えがまだ十分でない段階で、万が一早期に介護が必要になった場合、民間の介護保険は非常に心強い手段となります。

 

たとえば、将来の介護費用が貯まるまでの「つなぎ」として、掛け捨て型の保険で保障を確保するというのも一つの賢い選択肢です。

 

そのためにも、自分にどれだけの保障が必要か、そしてどれくらいの経済的リスクを許容できるかを冷静に考えることが、保険選びには欠かせません。

 

将来に備えて保険をどう活用するかは、決して軽視できないテーマです。保険に縛られるのではなく、自分にとって本当に必要な保障を見極め、賢く備えることが重要です。

  

もし、民間介護保険の加入についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

個別にご対応し、最適な保険選びをサポートいたします。

 

なお、個別商品についての推奨などは行えませんのでご了承ください。

 

また、介護や生活に関するさまざまなテーマについて、介護ポストセブンでも取り上げています。こちらの記事もぜひご覧ください。

 

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