介護費用について、不安や疑問を感じていませんか?
「介護保険料はすでに払っているから大丈夫では?」と思う方も多いですが、公的介護保険と民間介護保険は全くの別物です。
本記事では、それぞれの違いや最適な選び方について解説します。
この記事を読んで、ぜひご自身やご家族の介護費用の準備に役立ててください。
公的介護保険の特徴

公的介護保険は、原則として全国民が40歳以上になると加入する義務がある制度です。
加入者は以下のように分類されます。
第1号被保険者:65歳以上の人
第2号被保険者:40歳~64歳の人
範囲
要支援1–2、要介護1–5と認定された場合に利用可能です。第2号被保険者は特定疾病(例:初老期認知症や脳血管疾患など16の病気)に限り対象となります。
サービス内容
公的介護保険では、以下のような幅広いサービスが提供されます。
- デイサービス
- シュートステイ
- 訪問介護
- 福祉用具の貸与
- 施設入所サービスなど
自己負担額
居宅サービスを利用する場合は、利用できるサービスの量(支給限度額)が要介護度別に定められています。
1ヶ月あたりの限度額は次の通りです。
- 要支援1/ 50,320円
- 要支援2/105,310円
- 要介護1 /167,650円
- 要介護2 /197,050円
- 要介護3 /270,480円
- 要介護4/ 309,380円
- 要介護5 /362,170円
限度額の範囲内でサービスを利用した場合は、1割(一定以上所得者の場合は2割又は3割)の自己負担です。
限度額を超えてサービスを利用した場合は、超えた分が全額自己負担となります。
利用の手続き
利用するには、市区町村に申請し、要介護認定を受ける必要があります。
※参照(詳細) 介護保険とは 厚生労働
民間介護保険の特徴と確認すべきポイント

民間介護保険は、公的介護保険だけでは不安な方が、自分自身で将来の介護にかかる経済的負担に備えるための保険商品です。
特に、親の介護を経験して将来に不安を感じている方や、自分の老後資金に備えたい方にとって、選択肢の一つとなります。
加入を検討する際は、以下のポイントをしっかり確認しておきましょう。
-
保険金の受け取り方法:「一時金」「年金」「一時金+年金」のどれか。
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加入年齢の上限:何歳まで加入できるのか。
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保障期間:終身保障か、一定期間のみか。
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加入条件:健康状態などに制限があるか。
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給付条件:要介護2以上など、保険金の支払い条件が明確か。
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保険料の負担:家計に無理のない金額か。
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払込期間:保険料は何歳まで支払う必要があるのか。
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解約返戻金:途中で解約した場合に返戻金があるかどうか。
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保険料免除制度:一定の要件を満たすと保険料が免除される制度があるか。
これらの点を一つひとつ確認しながら、ご自身のライフプランや家計状況に合った民間の介護保険を選ぶことが大切です。
※参照 介護保険 生命保険文化センター
公的介護保険と民間介護保険の役割の違い

公的介護保険と民間介護保険は、どちらも介護が必要になった際の経済的負担を軽減するための制度ですが、その役割と目的には大きな違いがあります。
まず、公的介護保険は、先にも記載したように、40歳以上の国民が加入することが義務付けられている社会保険制度です。
要介護認定を受けた場合、介護サービスの費用の一部(原則1割から3割)を自己負担することで、必要な介護サービスを利用できます。
なお、介護保険制度は、高齢化や核家族化の進行などを背景に、介護を社会全体で支えることを目的として2000年に創設されました。
一方、民間介護保険は、民間の保険会社が提供する任意加入の保険商品です。
契約内容に応じて、要介護状態などになった際に給付金や保険金が支払われます。
給付金や保険金の使い道は自由です。
つまり、「介護にかかる費用への備え」を柔軟に支えるのが特徴です。
公的介護保険をベースに、民間保険の必要の有無を検討する必要があるでしょう。
将来の介護リスクに備えるには、両者の違いを理解した上で、自身のライフプランに合った対策を取ることが重要です。
FPが提供できるサービス

FPは、民間介護保険の必要性について以下のような支援を行います:
-
リスク分析
介護が必要になった場合にかかる費用の目安を提示し、公的施設と民間施設の費用差や、どのような介護が想定されるかといったリスクを整理します。
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ライフプラン全体の設計
家計全体のバランスを踏まえて、介護費用も含めた総合的なライフプランを提案します。民間介護保険に加入した場合の保険料負担が、家計にどの程度影響を与えるかもあわせて検討します。
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公的制度の活用アドバイス
高額介護サービス費制度など、公的な介護費用軽減制度の内容や利用方法について、わかりやすく情報提供します。
まとめ
介護費用の準備は早めに始めるほど安心です。
公的介護保険の内容をしっかり理解したうえで、民間介護保険を検討することが基本です。
また、保険の必要性を考える際には、「保険だけ」の部分最適に陥らず、ライフプラン全体を見据えたうえでの判断が重要です。
FPのサポートを受けることで、ご自身のライフプランから保険の必要性の有無を判断してみてはどうですか。
また、もし今、親の介護が心配なら、ぜひ一度、「介護とお金そなえプラン」を検討してみてください。
あなたとご家族の未来の安心をサポートします。
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