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親が元気なうちにしておくべき、生前対策の話し合いとお金の準備

親が元気なうちは、介護や財産管理について考えるのは後回しにしがちです。

 

しかし、親が「まだ大丈夫」と言って、将来の介護や財産管理について話したがらない場合、子どもとしてはどう対応すべきでしょうか?

  • 親の「大丈夫」は本当に大丈夫?

親が元気なうちは、「まだ何も心配いらない」と思いがちです。

 

ですが、介護が必要になるタイミングは突然やってくることがあります。

 

たとえば、病気や転倒などで、ある日突然介護になるかもしれません。

 

だからこそ、親が元気な今のうちに、将来に備えておくことがとても大切です。

 

親が「大丈夫」と言っていても、実は気づいていないだけで、心配なことがかくれている場合もあります。

 

だからこそ、子どもとしては、「今のうちに少しずつ準備しておこうね」とやさしく伝えて、早めに備えることの大切さを一緒に考えていくことが大事です。

  • 親の反応を理解し、無理なく話を進める

親が「まだ早い」「自分のことだから大丈夫」と言って話を避けることが多いかもしれません。

 

そんなとき、無理に説得しようとするのではなく、親が納得できる形で話を進めることが大切です。

  

例えば、「早めに準備をしておけば、安心して過ごせるよ」と、親が負担に感じないように心掛けて話してみてください。

  •  親に合った対策を一緒に考える

親が元気なうちに生前対策を始めるにはいくつかの方法があります。

 

たとえば、元気なうちに子どもへ財産を渡す「生前贈与」や、万が一に備えて介護費用を確保する「生命保険」、判断能力が低下したときに事前に備える「任意後見制度」などがあります。

 

それぞれにメリットとデメリットがありますので、親の状況や希望に合わせて最適な方法を選ぶことが大切です。

 

もし親が「まだ大丈夫」と言って話を聞こうとしない場合、身近な人の事例を挙げて、実際に介護が必要になった時の現実を共有することも効果的です。

 

「〇〇さんは元気なうちに準備しておいたから、急な事態に対応できたんだよ」といった具体例を紹介することで、親も現実的に考えるきっかけになるかもしれません。

  • 親の意向を尊重しながら進める

親が将来について話すのを避けることがあっても、焦らずに時間をかけて話を進めることが大切です。

 

無理に話を進めるのではなく、親が少しずつ関心を持ってもらえるように心掛けましょう。

 

また、生前対策は一度決めたら終わりではなく、状況に応じて柔軟に見直していくことが重要です。

 

定期的に話し合いを持ちながら、変化に対応できるように準備を進めていきましょう。

 

生前対策には様々な方法がありますが、それぞれにメリットとデメリットがあることを理解し、親の希望に合った方法を選ぶことが大切です。

 

また、何も対策をせずに放置することも一つの選択肢ですが、その場合、家族が困ることになる可能性があります。

 

親が元気なうちに生前対策を進め、将来に備えた安心を一緒に作りましょう。

 

この記事では、親が元気なうちからできる生前対策の方法と、そのメリット・デメリットについてわかりやすく解説します。

 

将来の介護や財産管理に備えるためのヒントを得たい方におすすめです。


放置はリスクを招く「何もしない」という選択がもたらす将来

「何もしない、つまり放置する」という選択肢もあります。

 

親がまだ元気だと、「今は何もする必要はない」「準備なんて早すぎる」と思ってしまうことがあります。

 

たしかに、「何もしない=放置する」ことには、手間もお金もかからず、今は「楽」かもしれません。

 

しかし、問題を先延ばしにすることで、何も解決しておらず、不安や心配はずっと心のどこかに残ったままになります。

 

そしていざ、親に介護が必要になったときに、慌てて対応することになりかねません。

 

ほんの少し準備しておくだけでも、いざというときの負担がぐっと軽くなり、家族みんなが安心して過ごせるようになります。

 


生前贈与

生前贈与には「暦年贈与」と「相続時精算課税制度」がありますが、ここでは暦年贈与について説明します。

  • 主なメリット

生前贈与は、相続税の課税対象となる相続財産を減らすことができ、贈与相手を選ぶことができる点で大きなメリットがあります。

 

贈与を通じて特定の財産を確実に承継することができ、贈与された側が喜ぶ顔をみることができます。

  • 主なデメリット・注意点

非課税枠を超える贈与には贈与税がかかります。

 

また、暦年贈与の場合、原則、贈与から7年以内に相続が発生すると、贈与された財産も相続財産とみなされ、相続税の対象となる点に注意が必要です。

 

 ※不動産の贈与には名義変更に伴う費用が発生するため、慎重に進める必要があります。

 ※国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合


生命保険

  • 主なメリット

生命保険の大きなメリットは、受取人を指定できることや、遺産分割時の相続財産には原則、含まれないことです。

 

また、保険金を相続税の非課税枠内で受け取ることができ、相続税の軽減にもつながります(法定相続人の場合)。

 

また、借金対策や納税資金の確保にも有効です。

  • 主なデメリット・注意点

生命保険のデメリットは、相続放棄をしても保険金を受け取ることができ、場合によっては相続税がかかる可能性があることです。

 

また、契約者と保険料負担者が異なる場合、名義保険として扱われるため、注意が必要です。


法定後見制度

  • 主なメリット

法定後見制度では、本人の判断能力が低下した後に家庭裁判所に申し立てを行い、後見人が選任されて財産を管理してもらえます。

 

これにより、本人が判断できない状態でも法的に適切な管理が行われる点がメリットです。

  • 主なデメリット・注意点

選任される後見人が希望通りの者でない可能性があり、後見人に報酬が発生する点もデメリットです。

 

また、成年後見人がつくと自由に後見制度の利用を中止することができず、基本的にな亡くなるまで報酬が発生することです。

 

さらに、後見人が財産管理に制限を受けるため、本人や家族の自由度が低くなることがあります。


任意後見制度

  • 主なメリット

任意後見制度では、元気なうちに後見人を選び、希望する代理業務を定めることができます。

 

これにより、自分の意志を反映させた後見人を選ぶことが可能です。

  • 主なデメリット・注意点

任意後見契約の開始時期を判断するのが難しく、公正証書で作成するため費用がかかる点がデメリットです。

 

また、後見監督人への報告義務が発生するため、一定の負担もあります。


財産管理委任契約

  • 主なメリット

財産管理委任契約を利用することで、外出できない時や体調不良時に家族や専門家に財産管理を委ねることができ、日常的な管理をサポートしてもらえる点が便利です。

  • 主なデメリット・注意点

認知症が発症してしまうと契約できなくなるため、早い段階で契約を締結する必要があります。

 

また、受任者の監督が難しく、信頼できない場合にはリスクが伴います。

 

なお、金融機関によっては、窓口での代理手続きに応じてもらえない場合もあります。


家族信託

  • 主なメリット

家族信託は、認知症や判断能力の低下があっても、信頼できる受託者が財産を管理・処分できるため安心です。

 

また、成年後見制度と違って、基本的にはランニングコストはかかりません。初期費用だけの支出になります。

  • 主なデメリット・注意点

完全に信頼できる家族がいない場合は成り立ちません。

 

また、信託契約書の管理運用方法に縛られ、すべての財産が信託財産にできるわけではありません。

 

財産の移動や処分に関して受託者に権限があるため、他の相続人との不公平感を感じトラブルになる可能性もあります。


死後事務委任契約

  • 主なメリット

本人が亡くなった後の事務手続きを信頼できる人に任せることができ、家族の負担を軽減できます。


また、火葬や納骨、行政手続き、遺品整理などを明確にしておけます。

 

  • 主なデメリット・注意点

遺産の承継については契約に盛り込むことができないため、遺言と併用する必要があります。

 

死後の手続きや事務処理を任せる場合でも、相続人と協力して対応することが求められます。


自筆証書遺言(自分で保管)

  • 主なメリット

自筆証書遺言は、費用がほとんどかからず、自由に書ける点でメリットがあります。

 

自分の意思を反映させやすいので、手軽に作成できます。

  • 主なデメリット・注意点

偽造や破棄のリスクがあり、家庭裁判所での検認が必要です。

 

また、内容に不備があると無効になる可能性があるため、慎重に作成することが求められます。


自筆証書遺言(法務局に保管)

  • 主なメリット

自筆証書遺言書保管制度は、偽造や破棄の心配がなく、形式の不備をチェックしてもらえる点が大きなメリットです。

 

法務局に保管されているため、安全性が確保されています。

 

また、家庭裁判所での検認の必要がありません。

  • 主なデメリット・注意点

遺言書保管所に本人が出向かなければならないため、手続きに足を運ぶ必要があります。

 

また、保管申請手数料として1件3,900円の手数料がかかります。


公正証書遺言

  • 主なメリット

公正証書遺言は、法律の専門家が作成するため、安全性が高く、相続手続きがスムーズに進む点が大きなメリットです。

 

また、偽造・破棄・隠ぺいの心配がなく。家庭裁判所による検認も必要ありません。

 

さらに、病院や自宅に、公証人が出張してくれて作成できます。

  • 主なデメリット・注意点

証人が必要であり、公正証書で作成するため費用や時間がかかる点がデメリットです。


エンディングノート

  • 主なメリット

エンディングノートは、気軽に自分の意思を記録できるため、家族にとって有益な資料となります。

 

遺言と併用して、親の意向をしっかりと伝える手段としても活用できます。

法的効力がないため、正式な遺言書と併用することが望ましいです。

 

また、記入を途中で断念してしまうこともあるため、完成させることが難しい場合があります。


まとめ

生前対策にはさまざまな方法がありますが、それぞれにメリット・デメリットがあります。

 

どの方法が自分に合っているのか、家族や状況に応じて最適な方法を選択することが大切です。

 

また、早めに対策を講じることで、後々のトラブルを避けることができます。専門家のアドバイスを受けながら、自分の意思を反映させた生前対策を検討しましょう。

 

また、もし今、親の介護が心配なら、ぜひ一度、「介護とお金そなえプラン」を検討してみてください。

 

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