親の介護費用はどうする?
親が介護になった場合、親の財産で賄うことができれば問題はありません。ただ、親の年金が少なかったり、貯金が十分なかった場合はどうでしょうか。また、親の年金収入や財産が全く分からない場合も子どもとしては不安です。
親の年金や貯金が少ない場合
親の年金や貯金が少ない場合、子どもが支援することになるでしょう。子どもは介護費用など軽減制度を知っておくとかなり精神的にも楽になります。また、調べる時間などない場合は、地域包括支援センターに相談してみてはどうでしょうか。
〈高額介護サービス費〉
介護保険サービスを利用した1カ月の利用者負担の合計額(利用者が複数いる場合は世帯合計額)が一定額を超えたときには、「高額介護(介護予防)サービス費」としておおよそ3カ月後に支給されます。
〈特定入所者介護サービス費〉とは、介護保険施設に入所したときに、低所得者の方が施設利用が困難にならないように申請により、公的介護保険施設の食費・居住費が軽減される制度のことです。また、ショートステイ利用時にも適用されます。
〈高額医療・高額介護合算制度〉
毎年8月から翌7月末までの1年間に支払った医療保険と介護保険の自己負担額を合計し、負担限度額を超えた場合、申請によりその超えた金額が支給されます。
医療費控除は、納税者本人または生計を一にする配偶者、親族の医療費を支払った時に次の計算式で算出された金額が所得控除できます。医療費控除額は医療費から保険金などで補てんされる金額を差引いて、さらに10万円(正確には、総所得金額等の5%と10万円のどちらか少ない方)を控除します。上限額は毎年200万円です。医療と関係のない介護サービス費は対象外となりますが、医療に関連する介護サービス費は医療費控除の対象となる場合があります。
障害者手帳を持ってなく、65歳以上の方で、要支援・要介護を受けており、市区町村の「障害者控除対象者認定基準」に該当する場合、「障害者控除対象者認定書」で所得税及び住民税の所得控除を受けることができます(各自治体により基準が異なります)。
親の年金や貯金額が全く分からない場合
子どもは親の収入や貯金額がわからないとどのくらい支援すべきか不安です。中には、母親が介護になり、父親が面倒を見ているのですが、子どもとしては親の収入などがわからないので、仮に父親が倒れるとどうなるんだろうと不安が増します。
そのためにも親はおおよそでもいいので子どもに収入などを伝える必要があるのではないでしょうか。子どもも親に収入や財産を聞くのは聞きにくいでしょう。今後の介護費用が心配なので、専門家に相談したいのでおおよ収入などを教えてと言ってみるのも一つです。
親の収入や財産が分かると、軽減制度の活用など対策が見えてくるのでしょう。
子自身の介護費用はどうする?
親が介護になる年代は80歳以上から増加していくのではないでしょうか。年齢を重ねるにつれ介護リスクが増加します。
子どもの年齢も50歳以上と自分の将来の老後資金の確保とともに介護費用の確保も必要です。
ただ、介護はなるかどうかも分かりません。また、いくらかかるかも人それぞれです。
生命保険文化センターのアンケート調査によると、介護期間は平均61カ月、一時費用は平均74万円、月々の費用は平均8.3万円となっています。単純計算すると約580万円になります。ただ、介護期間は10年以上が増加傾向にあることに加え、今後、利用者負担の増加が見込まれています。
仮に60歳の子どもの場合、介護リスクが高まるまで約20年あります。この期間をどう捉えるかということになります。
- 20年間あるので長期分散投資を行って介護費用を捻出する
- 20年間預貯金をしていく
20年間毎月2万円を積み立てて4%で運用すると、どうなるでしょうか。
80歳時に734万円となり、今の平均額580万円以上になります。
同様に、貯金(ゼロ%の場合)だけの場合は480万円とまだ不足しています。
ただし、資産運用は必ず増えるわけではありませんので注意が必要です。また、仮に5年後に介護になった場合はどうでしょうか。金融庁の資料によると運用期間が5年間の場合は元本割れのリスクがあります。
掛け捨てで安価な民間介護保険に資産運用&預貯金で準備も
仮に、早くに介護になった場合に備えて、掛け捨てで割安な民間介護保険で準備するの一つです。あくまでも早期に介護になった場合に備えますので、保険料は極力安く掛け捨ての保険で対応を検討してみてはどうでしょうか。
あとは80歳以降に介護になる場合に備えて、予算全額をNISA口座を使っての資産運用するか、貯金と併用することなども考えられます。
また、資産運用するときに、期待リターンのみに焦点を当てるのでは標準偏差(リスク)にも注意する必要があります。例えば、国内の株式の期待リターンが5%、標準偏差が20%とした場合、(正規分布に従っていると仮定)下振れした場合の▲15%から上振れした場合の25%の範囲内にある確率が約68%(ほぼ3分の2)になります。つまり、100万円を投資すると約3分の2の確率で85万円~125万円の範囲内ということです。リスクをコントロールしながら最適なリターンを得るためには最適なアセットアロケーションを組む必要があるでしょう。
まとめ
親の介護費用。親自身が捻出できれば全く子どもにとっては問題はありません。ただ、親が捻出できない場合は、子どもが支援する必要があるでしょう。そのためにも軽減制度を知っておくことは大切になります。また、どうしてよいかわからない場合は、地域包括支援センターに相談することをお勧めします。親の収入や資産状況の分からない場合も子どもは困ります。いくら支援すればよいのか全く分かりません。子ども自身の生活設計にも関わってきます。親には聞きにくいテーマですので、専門家に介護費用について相談するなどで親に収入などを聞いてみてはどうでしょうか。
子ども自身の介護費用も準備する必要があります。ある程度の期間があれば「長期・分散・積立」投資で介護費用を準備する方法や預貯金との併用も検討できます。また、早期に介護になった場合に備えては、割安で掛け捨ての民間介護保険も検討の一つにはなるでしょう。資産運用においてはリターンだけを見るのではなく、リスクも勘案して最適な資産配分を検討しましょう。