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未支給年金と遺族年金の違い

未支給年金は最大でも3ヶ月分、遺族厚生年金は終身となります(一定の要件あり)。

未支給年金

未支給年金とは、故人がまだ受け取っていない年金がある場合に、故人と生計を同じくしていた遺族が未支給分の年金を受け取ることができます。例えば、5月に亡くなった場合、4月分、5月分の2か月分が未支給年金になります。次の場合はどうでしょうか。

  • 6月2日に亡くなった場合

未支給年金は、4月分、5月分、6月分の3ヶ月分を受け取ることができます。

  • 6月27日に亡くなった場合

未支給年金は、6月分の1ヶ月分になります。

  • 7月2日に亡くなった場合

未支給年金は、6月分、7月分の2カ月分になります。

つまり、まずは、亡くなった月が「奇数月か偶数月」で異なります。奇数月の場合は2か月分の未支給年金を受け取ることができます。一方、偶数月の場合は、さらに月を前半と後半に分けます(15日に年金が支給済みか否かです)。月の前半である場合は、3か月分の未支給年金を受け取ることができます。後半であれば、1ヶ月分の未支給年金となります。年金は原則、偶数月の15日に支給されます。支給される分は、前々月と前月分が当月15日に支給されるため、上記のような未支給分が発生します。また、未支給年金を受け取ることができる遺族の順番は故人と生計を同じくしていた

  1. 配偶者
  2. 父母
  3. 祖父母
  4. 兄弟姉妹
  5. その他3親等内の親族

なお、税務上の取扱いは相続税ではなく一時所得になります(所得税)。※ここでの未支給年金は公的年金についてになりますのでご留意ください。

遺族厚生年金

次に、遺族年金ですが、遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があります。「遺族基礎年金」は、国民年金に加入している被保険者等が亡くなった場合で、一定の要件を満たしている場合に支給されます。「遺族基礎年金」の受給できる遺族の範囲は、死亡した人に生計を維持されていた「子」または「子のある配偶者」となります。ここでいう「子」とは、①18歳到達年度の末日までの子、②20歳未満で障害等級1級または2級に該当する子のことです。なお、詳細は割愛させていただきます。「遺族厚生年金」は、第2号被保険者(会社員や公務員)が亡くなった場合で、一定の要件を満たしている場合に支給されます。なお、遺族厚生年金の支給額は故人の加入実績によって異なるため、ここでは、下記の場合のみを前提条件としていますので、ご留意ください

例えば、子供のいない夫婦を例にしてみます。サラリーマンだった夫80歳(老齢基礎年金78万円、老齢厚生年金(報酬比例部分120万円))が亡くなった場合、専業主婦の妻75歳(老齢基礎年金78万円)の遺族年金はいくらになるのでしょうか。※その他の要件は満たしている。

 

遺族基礎年金は上記の「子」がいないため該当しません。次に遺族厚生年金ですが、妻は夫の報酬比例部分の4分の3(120万円×3/4)の90万円が受給できます。よって、妻は夫の亡くなった後は、ご自身の老齢基礎年金(78万円)に遺族厚生年金(90万円)を加えた金額を要件を満たしている限り受給できます。なお、遺族厚生年金の受給できる遺族の範囲は、故人に生計を維持されていた順番は次の通りです。

  1. 妻・夫・子
  2. 父母
  3. 祖父母

夫、父母、祖父母が受給権者の場合は55歳以上であることが要件になっています。また、年金を受け取るのは60歳からになります。子、孫においては、18歳到達年度末までの子、孫(または障害等級1.2級で20歳未満の子、孫)になります。その他、一定の遺族には中高齢寡婦加算等ありますがここでは割愛させていただきます。なお、遺族厚生年金は、所得税も相続税も非課税です。詳細につきましては日本年金機構 遺族厚生年金をご参照ください。

 

まとめ

未支給年金は、1ヶ月から最大3か月分を受け取ることができますが、あくまでも終身ではありません。

 

一方、遺族厚生年金は、一定の要件を満たす限り終身で受け取ることができます。

 

亡くなった後の年金と言えば、すぐに遺族年金が頭に浮かびますが、未支給年金もあることを忘れないようにしましょう。

 

未支給年金や遺族年金の手続きには期限があり、必要な書類を揃えて進めることが求められます。

 

ただ、本当に考えておきたいのは「親が元気なうちに何を準備できるか」ということ。

 

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親の年金や貯金は、介護にも、相続にも、生活にもつながる大事なお金です。

 

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