たとえば、「母80歳・年金15万円・貯金1000万円・持ち家・単身世帯、この状況で今の生活は大丈夫でしょうか?」
毎月の生活費がおおむね年金の範囲で収まっているのであれば、当面の生活資金に大きな問題が生じる可能性は低いでしょう。
当面は年金で生活を続けられるケースが多く、すぐに貯金がなくなる心配はそれほどありません。
ただし、ここで安心しきってしまうのは少し早いかもしれません。
介護が始まると、これまでの生活費に加えて介護費用や医療費などの支出が増え、家計の収支が大きく変わることがあるからです。
介護が始まると収支のバランスは変わります
例えば、今の生活費が月14万円程度だとすると、年金(手取り)15万円との差で月1万円ほどの余裕があります。ただ、実際には固定資産税や修繕費など年単位の支出もあるため、実感としては「余っている」というよりも「大きな支出があると減っていく」状態の方が近いかもしれません。
そこに介護費用が加わると状況は変わります。2024年度の生命保険文化センターの調査によると、在宅介護で月5.2万円程度、施設に入ると月13.8万円程度とされています。今の収入で支出が増えれば、その差額は預貯金から取り崩すことになります。
例えば施設に入った場合、施設費用に加えて自宅の管理費なども必要になるため、仮に合計で月20万円とすると、毎月5万円、年間で約60万円の取り崩しになります。この前提で考えると、単純計算では約16年持つ計算になります。
この数字だけを見ると「思ったより長く持つ」と感じるかもしれません。ただし、これは費用が変わらない前提での試算です。実際には、要介護度が重くなる、医療費が増える、施設が変わるなどの理由で支出は変動するため、想定より早く貯金が減るケースも少なくありません。
問題は「お金」だけではありません
さらに見落とされやすいのが、ご家族の関わり方です。通院の付き添いは誰が行うのか、施設に入るタイミングは誰が判断するのか、もしお金が足りなくなった場合に兄弟でどう負担するのか。
こうした点が決まっていないと、最初は小さな違いでも徐々に不満や認識のズレにつながります。
実際には、「介護の問題」というよりも「役割」と「お金の負担」で関係が難しくなるケースが珍しくありません。特に、一方だけが時間や費用を負担している状況になると、「なぜ自分ばかり」という感情が生まれやすくなります。
本当に重要なのはここからです
ここまでの内容は、ある程度一般的なケースとして整理できます。しかし、本当に重要なのはここからです。
仮に親の介護で月3万円の補助が必要になった場合、年間36万円、10年で360万円になります。
この負担を続けながら、ご自身の生活や老後資金に影響が出ないかどうかは、人によって大きく異なります。
つまり、「親のお金がもつかどうか」だけでなく、「自分がどこまで関われるのか」という視点が欠かせません。
判断はご家庭ごとに異なります
ここまで見てくると方向性はある程度見えてきますが、最終的な判断はご家庭ごとに異なります。収入や支出、将来の予定、資産状況によって「無理なく負担できる範囲」は変わるためです。
今回のようなケースは、親の状況だけでなく、ご自身の生活や老後への影響まで含めて整理することで、判断しやすくなります。「このままで大丈夫なのか」「どこまで関わるべきか」と感じたタイミングが、一度見通しを整理する良い機会かもしれません。
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こんな場合は、一度家計全体を整理しておくことをおすすめします
- 親の年金だけでは、介護費が足りないかもしれない
- 自分にも住宅ローンや教育費の負担がある
- 兄弟との費用負担や役割分担が決まっていない
- 親が認知症になった場合のお金の管理を話し合っていない
- 施設に入る場合の費用をまだ試算していない
親の介護費用だけでなく、ご自身の生活費や老後資金への影響も含めて整理することで、 「どこまでなら無理なく負担できるか」が分かりやすくなります。
現在の状況を伺い、何から整理すればよいかを一緒に確認します。
