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お金が心配”と言いながら、何が心配かわからないときの考え方

「老後のお金が心配です」とおっしゃる方はとても多いです。

 

けれど、よくよくお話をうかがってみると、「何にどれくらいかかるのか、実はよく分かっていない」「とにかく不安なんです」という方が少なくありません。

 

将来に備えるために不安を持つのは自然なことですが、“なんとなく心配”のままでいると、何を準備して良いのかが分からず、結果的に何も進まないまま時間だけが過ぎてしまうこともあります。

 

このような状態を解きほぐすには、「不安の正体」を見つけることが出発点になります。

 

今回は、“お金が心配”だけど“何が心配か分からない”というときに、どう考えていけばよいのかについてお話しします。


不安の背景には「見えない未来」がある

人は、分からないものに対して不安を抱くものです。

 

例えば、暗い夜道を歩いていて、街灯がなければ前がまったく見えない場面を想像してみてください。

 

とても不安で、怖く感じるのではないでしょうか。

 

でも、少しでも家の明かりが見えたりすれば、ほっと安心することもあるはずです。

 

また、現代では正解を自分で見出さなければならない場面が、以前にも増して多くなっています。

 

そのため、日々が「不安との戦い」になっている方も少なくないでしょう。

 

「本当にこの方向で合っているのか」「この選択で間違っていないのか」など。

 

つまり、ゴールが見えないことが不安の根源となっているのです。

 

同じように、将来の生活費、医療や介護の費用、住まいや暮らし方、もしものときに頼れる存在などが具体的に見えていないと、「何に備えればいいのか分からないけれど、とにかく心配」という気持ちになりやすくなります。

 

特に独身で家族に頼れない方の場合は、「いざというとき誰が面倒を見てくれるのか」「施設に入るとしたら、費用はいくらかかるのか」「民間の保険に入っているけれど、これで本当に足りるのか」などといった複数の不安が複雑に絡み合ってきます。

 

ですが、こうした心配事も、個別に丁寧に見ていけば、「整理できるもの」であることが多いのです。


必要なのは「ざっくりでも見通しを立てること」

お金に関する不安を軽くするために、もっとも効果的な方法の一つが「将来のお金の流れを、ざっくりでもいいので見える化すること」です。

 

完璧なシミュレーションである必要はありません。

 

たとえば、Excelなどを使って、ご自身で収入や支出、年間の収支、貯金額などを簡単に計算してみるだけでも十分です。

 

「65歳から年金が月に〇万円ある」「生活費はこのくらいかかる」「医療・介護費用として年間これくらいは見ておきたい」などといったように、大まかな金額の流れを把握するだけでも、不安の感じ方は大きく変わってきます。

 

たとえば、介護が必要になったときの費用については、在宅での介護か施設での介護か、また要介護度によっても大きく異なります。

 

加えて、住んでいる地域によって利用できる制度や助成も変わってくるため、一概には言えません。

 

とはいえ、目安となる金額を知っておくだけでも、何も知らない状態に比べて格段に安心感が得られます。

 

「知らないから怖い」のか、「知ったうえで不安なのか」。

 

この違いは、思っている以上に大きいのです。


保険や貯金が「本当に役立つのか」を見直してみる

「とりあえず備えておこう」と思って加入した民間の保険も、定期的に見直しを行わないと、いざというときに期待した保障が得られないケースがあります。

 

私が昔、生命保険会社に勤務していた当時に記憶している中では、医療保険には、入院が20日以上でないと給付されないものや、8日以上または5日以上(4日免責)の入院などの条件が付いた商品が主力でした。

 

しかし、現在では入院の短期化に対応した商品(日帰りでも入院すれば一時金として5万円や10万円が支給される保険)にかわっています。

 

このように、時代とともに保険内容は変化しています。

 

ですので、保障内容を正確に把握し、今の自分にとって「ちょうどいい備え」ができているかを定期的に確認することが大切です。

 

保険が悪いわけではなく、今の生活に合った保障が得られているかどうかを見極めることが重要です。

 

また、「貯金があれば大丈夫」と考えている方の中には、どのくらい使っても良いのか分からず、結局手をつけられないという方もいらっしゃいます。

 

例えば、自宅を所有している方であれば、リフォームが必要になったり、自動車の買い替えが必要になることもあります。

 

これらを見通せていないことが、不安を引き起こす原因となっています。

 

自分にとって「使ってもよいお金」と「残しておきたいお金」を分けて考えられるようになると、不安が少しずつ整理され、心の余裕も生まれてきます。


不安は「行動」でしか小さくならない

不安は、ただ考えているだけでは消えてくれません。

 

誰かに相談してみる、情報を集めてみる、自分の数字を書き出してみる。そんな小さな一歩を積み重ねることでしか、不安の正体は見えてこないのです。

 

特に「介護費用」については、よく分からないまま放置されがちですが、実際には費用の軽減の制度などもあったります。

 

確かに介護は、1人1人異なるため、個別対応が求められますが、介護費用に関しては、知らないと損をする場合もあるのが現実です。

 

そして、適切に制度を活用すれば「こんなに助かるのか」と感じる場面も少なくありません。


まとめ:不安の「輪郭」が見えれば、備え方も見えてくる

「お金が心配」という気持ちは、誰にでもある自然な感情です。

 

特に60代を迎える頃になると、「このまま一人で大丈夫かな」と感じることも増えてくると思います。

 

そんなときは、「不安をなくす」のではなく、「不安の正体をつかむ」ことから始めてみてください。

 

将来に対する備え方は人それぞれ違いますが、正しい情報を持ち、自分の今と向き合うことで、「私はこれで大丈夫」と思える選択肢を見つけることができます。

 

もしも今、不安に感じていることがあれば、一度相談してみてください

 

あなたに合った備え方や選択肢を見つけるお手伝いをさせていただきます。

 

未来の安心に向けて、一歩踏み出すお手伝いをいたします。

 

また、介護や生活に関するさまざまなテーマについて、介護ポストセブンでも取り上げています。こちらの記事もぜひご覧ください。

 

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