将来がわかればどうする?
もし「将来の自分の暮らし」を今すぐのぞくことができたらどうでしょう?
お金の不安は? 介護の備えは足りている?
そんな「将来がわかる」のが、ライフプランの作成です。
ライフプランとは、 人生の計画を立て、それに伴うお金の流れを「見える化」することです。
例えば、以下のようなライフイベントを時系列で整理し、それぞれのタイミングで必要になるお金を考えていきます。
- 40代:子どもの教育費、住宅ローンの支払い
- 50代:住宅ローンの完済、親の介護費用の準備
- 60代:退職、年金生活の開始
- 70代以降:医療・介護費用の増加、資産の取り崩し
これらの出来事をあらかじめ想定し、お金の動きをシミュレーションすることで、
- 「どの時期にどれくらいの資金が必要か」
- 「どのような生活をしているか」
といった「将来の自分」を具体的にイメージできるようになります。
ライフプランとは、将来のシミュレーター

ライフプランを作成しすれば、将来のお金の流れが「見える化」され、漠然とした不安が具体的な課題に変わります。
以下のメリットが得られます。
① 不安が「見える課題」に変わる
「老後資金が足りるか心配…」という漠然とした不安も、ライフプランでシミュレーションすれば具体的な金額がわかります。
たとえば、月20万円の生活費で65歳から90歳まで生活する場合、6,000万円が必要。
さらに、介護費用、リフォーム費用、車の買換え、家族信託組成費用、お葬式代なども考慮すると、8,000万~9,000万円が必要になるかもしれません。
このように、必要な資金が明確になることで、足りない分が具体的にわかり、今すぐに対策を講じやすくなります。
② 介護費用の備えができる
介護費用は、老後の最大の心配事の一つです。
平均で月9万円(※生命保険文化センター調べ)程度かかると言われていますが、長期化するとその負担は増大します。
ライフプランを作成することで、介護費用がどのタイミングで必要になるかを事前に把握し、しっかりと準備をすることができます。
たとえば、自分自身の老後や親の介護に備えて、資産運用を早めに始めたり、介護保険制度や軽減制度などを活用することで、将来の不安を解消できます。
早めに対策を取ることで、将来の不安を軽減
ライフプランを通じて、将来に必要なお金がどれくらいかを早めに把握すれば、今からできる対策が見えてきます。
無駄な支出を見直したり、適切な資産運用を始めることで、将来の不安をしっかりと軽減できるのではないでしょうか。
ライフプラン作成の具体的な方法

では、実際にライフプランを作成し、未来の自分をシミュレーションするにはどうすればよいのでしょうか?
① 現在の収入・支出・資産を整理する
まずは、今の家計の状況を把握しましょう。
- 収入(給与・年金・副収入など)
- 固定費(住宅ローン、保険料など)
- 変動費(食費、交際費など)
- 貯蓄額や資産(預金、投資など)
これを把握するだけでも、「毎月どれくらい貯蓄できているか」「無駄な支出がないか」などが見えてきます。
② 今後のライフイベントを洗い出す
次に、今後の人生で発生するイベントを考えます。
- 子どもの進学・結婚
- 住宅ローンの完済
- 退職時期と年金受給開始
- 親の介護・自分の介護
時系列で整理し、どの時点でどれくらいのお金が必要になるのかを明確にしましょう。
親のライフプランについても忘れてはいけません。
認知症などによる介護状態を想定し、自宅のバリアフリー化や修繕、自家用車・家電の買い替え、医療費、家族信託(民事信託)、成年後見制度の活用にかかる費用、そしてお葬式代なども考慮しておく必要があります。
親の状態は、以下のような4つのステージに分けて考えると、より具体的に将来の支出を見積もることができます。
ステージ1:元気な頃
この時期は、基本生活費に加え、自家用車や家電の買い替え費用、旅行費用、子どもの結婚費用援助、自宅のリフォーム費用などを見込んでおきます。
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家電などの買い替え目安は10年程度(例:冷蔵庫14年、洗濯機10.9年、ルームエアコン14.1年、カラーテレビ10.7年、乗用車(新車)9.1年、パソコン7.6年など、参照 令和6年3月消費動向調査)
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旅行費用は70歳以上の世帯で年間約3.5万円(参照 2023年家計調査 総務省)
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一戸建て修繕にかかった費用は平均615.1万円。修繕場所 第1位「外壁」79.2%で1回目の修繕時の築年数平均は18.8年、費用平均は100.7万円(参照 2023年『一戸建て修繕』の実態調査 at home)
ステージ2:体力の衰えを感じる頃
将来への不安が現実味を帯びてくる時期です。認知症などに備えて、介護費用やお葬式費用の準備が必要になります。
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判断能力があるうちに家族信託を活用すると、自宅の売却などで介護費用を確保できます(初期費用は約100万円)
ステージ3:認知症の発症・介護が必要な時期
特別養護老人ホームへの入所や、成年後見制度の活用が現実的になります。
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ユニット型個室(要介護5)の費用:約180万円/年
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成年後見制度による継続費用:年間約24万円(専門家が後見人となる場合)
ステージ4:看取り・死去
介護の終末期には葬儀・お墓関連の費用が発生します。
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葬儀費用:約100万円
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墓地・墓石代(民営):約100万円以上
医療費はすべてのステージにわたり発生することも忘れてはいけません。
このように、ライフプランに「親の老後」や「介護の備え」も含めて考えることで、将来的な出費を見える化し、現実的な対策を講じることができます。
③ 将来の収支をシミュレーションする
現在の収入と支出を基に、未来の収支をシミュレーションします。
例えば、65歳で退職し、年金が月15万円、生活費が20万円かかる場合、毎月5万円の赤字になります。
この不足分をどのように補うか?
- 貯蓄や資産運用で補う
- 退職後も働く
- 生活費を見直す
こうした対策を検討することで、将来の不安を減らすことができます。
まとめ

もし、このまま何も対策を取らなかったら、将来はどうなってしまうのでしょうか?
逆に、今から行動を起こせば、どんな未来が待っているのでしょうか?
「将来の自分が見えること」
それが、今の行動を変えるきっかけになります。
ライフプランを作成することで、
- 将来のお金の流れが「見える化」される
- 漠然とした不安が「具体的な課題」に変わる
- 介護費用や老後資金の不足に、事前に気づいて備えることができる
「将来は予測できない」と思うかもしれませんが、たとえ大まかなシミュレーションでも、安心感は大きく変わります。
今こそ、将来の自分のために。
ライフプランを作成して、安心できる暮らしを準備してみませんか?
また、もし今、親の介護が心配なら、ぜひ一度、「介護とお金そなえプラン」を検討してみてください。
あなたとご家族の未来の安心をサポートします。
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