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老後2000万問題 老後に賃貸住宅は支出のインパクトが大きい

老後2000万の問題がありました。

2019年の金融庁の審議会「ワーキング・グループ」は、老後30年間で約2000万円不足すると発表しました。

 

2000万円不足するという根拠は、平成29(2017)平均速報結果の概要「家 計 調 査 報告」です。

 

次のように算出されます。

〈高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上,妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)について〉

  • 毎月の実収入は209,198
  • 消費支出は235,477
  • 非消費支出28,240

実収入209,198円-支出(消費支出235,477+非消費支出28,240円)=54,519円の赤字老後30年間では、▲54,519円×12ヵ月×30年=▲19,626,840

 

つまり、約2000万円不足するということになります。

 

※参照 家計調査報告 平 成 30 年 2 月 16 日 総務省統計局

老後のお金と生活費

令和5年の家計調査では、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上,妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)について

  • 毎月の実収入は244,580
  • 消費支出は250,959
  • 非消費支出31,538

赤字は▲37,916円となっています。

 同じように30年間で計算すると、▲13,649,760円となります。1,400万円が不足ということになります。

 

不足分は預貯金でカバーすることになります。ここで高齢者の平均貯蓄額はどうでしょうか。

  • 60歳から69歳までの世帯の純貯蓄額2,231万円、
  • 70歳以上世帯の純貯蓄額は2,425万円

赤字分は十分カバーできることになります

ただし、あくまでも平均値であり、参考程度になります。

 

参照 家計調査報告 2023年(令和5年)平均結果の概要総務省統計局

参照 家 計 調 査 報 告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)総務省

 

 

 

住居費は自由に使えない

令和5年の家計調査よると、可処分所得は213,042円です。実収入に対して約87%です。

 

可処分所得とは、税金や社会保険料などを差し引いた自分で自由に使えるお金です。ただ、実際、毎月の住居費や生命保険料・損害保険料なども一定であり、自由に使えないお金と考えてもいいでしょう。この場合の住居費の割合は、可処分所得に対して約8%です。

 

仮に、消費支出の10項目の中で、「住居」、「光熱・水道」を自由に使えないお金に計上すると、「仮の可処分所得」は、173,793円になります。

 

つまり自由に使えるお金は、約17万となります。なお、実収入に対する割合は約71%となります。

 

 

消費支出

250,959

(変動費)→自分で調整が可能

 

 ・食料

72,930

・家具・家事用品

10,477

・被服及び履物

5,159

・保健医療

16,879

・交通・通信

30,729

・教 育

5

・教養娯楽

24,690

・その他の消費支出

 

50,839

(固定費)→今すぐ自由に調整難しい

 

・住 居

16,827

・光熱・水道

22,422

 

 

老後、賃貸した場合

しかも、ここでは、「住居」の金額が16,827円(可処分所得に対して約8%)となっており、都内でマンションを借りている場合は、どうでしょうか。

 

例えば、8万円(可処分所得に対して約38%)とすると自由に使えるお金は約10万ちょっとになってしまいます。他の支出の見直しをしなければ、次にようになります。

 

 

消費支出

314,130

(変動費)→自分で調整が可能

 

 ・食料

72,930

・家具・家事用品

10,477

・被服及び履物

5,159

・保健医療

16,879

・交通・通信

30,729

・教 育

5

・教養娯楽

24,690

・その他の消費支出

 

50,839

(固定費)→今すぐ自由に調整難しい

 

・住 居

80,000

・光熱・水道

22,422

 

  • 毎月の実収入は244,580
  • 消費支出は314,130
  • 非消費支出31,538

赤字は▲101,088円となっています。老後30年間とした場合、10万円×12ヵ月×30年=3,600万円の赤字です。預貯金を切り崩しても1,200万円くらい不足します(70歳以上の世帯の純貯蓄額は2,425万)。

 

老後の住まいで大きく変わる

住居費は固定費のため、いますぐに対策が取りにくく、しかもインパクトが大きいため十分注意する必要があるでしょう。

 

また、住居費の目安といわれる可処分所得の25%とした場合はどうでしょうか。

 

住居費を55,000円とします。

 

消費支出

289,130

(変動費)→自分で調整が可能

 

 ・食料

72,930

・家具・家事用品

10,477

・被服及び履物

5,159

・保健医療

16,879

・交通・通信

30,729

・教 育

5

・教養娯楽

24,690

・その他の消費支出

 

50,839

(固定費)→今すぐ自由に調整難しい

 

・住 居

55,000

・光熱・水道

22,422

 

  • 毎月の実収入は244,580
  • 消費支出は289,130
  • 非消費支出31,538

赤字は▲76,088円となっています。老後30年間とした場合、約8万円×12ヵ月×30年=2,880万円の赤字です。預貯金を切り崩しても400万円くらい不足になります。

まとめ

最近では、物価上昇などで老後2000万円から4000万円必要だとも報道されています。

 

貯蓄を増やすには、主には、働き続けたり、資産運用などお金に働いてもらって収入を増やすか、支出を減らすことしかありません。

 

支出を減らすには、固定費の見直しが一番です。その中でも居住費はインパクトは大きいです。そのほかでは、生命保険の見直しや携帯電話等も見直しも積極的に検討してみてはどうでしょうか。