お墓と言えば、最も一般的な先祖代々の「家墓」を連想するのではないでしょうか。最近では、子ども世代は実家をでて、例えば、都会などで生活しており、お墓が実家の地方にある場合や未婚で子どもがいないので承継する人がいない場合など、今後、実家の近くにあるお墓をどのようにしていくのか検討する必要があるでしょう。
次男などで承継するお墓のない人は、お墓の購入を考えている人もいるでしょう。お墓を買うのは、自宅などの土地を買うのとは意味が違います。
「お墓を買う」というのは「お墓として利用するために、永代にわたって土地を借りて使う権利を得る」ということになります。これを「永代使用」といい、使用料を一括で支払う必要があります。
永代使用料とは?
上記の「お墓として利用するために、永代にわたって土地を借りて使う権利を得ている」ということは、その権利を子孫などが引き継いで使用できることになります。これを永代使用といい、そのために支払う費用を「永代使用料」と言います。
「永代使用料」を支払うと墓地を管理している霊園や寺院から「永代使用承諾書」が発行されます。
永代使用料は、土地の価格に比例し、また、墓地の立地条件や区画の広さなど地域によっても大きく違います。
永代使用料は墓地取得時に一括で支払う必要があり、鎌倉新書の15回 お墓の消費者全国実態調査(2024年)によると一般墓の購入にかかる費用は、主に「墓石代」「土地利用料」「その他諸経費」を合算したものであり、そのうち土地利用料の平均は47.2万円となっています。
また、購入後は、毎年管理料が必要になります。なお、永代使用料は、あくまでも所有権ではありませんので、第三者に譲渡したり、売却することはできません。
お墓を建てる目的以外の使用の禁止や墓じまいしたときにも永代使用料の返還はなく、原則として更地にして返還する必要があります。
お墓を購入するときには、よく検討してから購入しましょう。
永代供養とは?
「永代使用」とよく混乱する「永代供養」があります。
「永代使用」は、上記の通り、子孫など承継する人がいれば、永代使用料を支払って承継者が毎年管理料を支払い、権利を次の代へと引き継ぐことができます。
一方、「永代供養」は承継者のいない場合、つまり承継者を必要としない場合になります。
「永代供養」は、お寺や墓地・霊園が続く限り、永代にわたって供養を行います。また、「永代供養料」は、永代供養墓の種類(単独墓、集合墓、合祀墓)によってことなり、最初にまとまったお金が必要になります。また、年間管理料は不要のところや一定期間までの支払い義務のあるところもありますので、検討するときには必ず確認をしましょう。
「永代使用」と「永代供養」は似た言葉であり、混乱しますが、承継者の有無で判断できます。
以前、親の納骨堂を購入したときに永代使用と永代供養の違いを意識しなかったことを覚えています。その後、当該納骨堂に尋ねたところ、永代使用であり、永代供養ではないとの回答をいただきました。結果、オーライで問題はなかったのですが、永代使用と永代供養の違いを把握することが必要でしょう。
まとめ
承継者の有無で永代使用か永代供養か区別できます。承継者がいることが前提である永代使用は、永代使用料を支払って、毎年の管理料を支払います。一方、承継者がいない場合は、永代供養を選び、永代供養料を支払い、毎年の管理料についてはお寺や墓地・霊園などに確認しましょう。また、墓じまいや改葬なども検討する必要がある人は、早めに家族や親族で話し合いましょう。