70歳くらいを目途に増える介護費用の対策を!

介護を意識した対策は何歳くらいが目途

介護は突然襲ってきます。

万一、親が突然介護状態になって判断能力がなくなると、親の口座は凍結されたり、生命保険の契約、ご自宅の売却などできなくなります。判断能力のあるうちに対策をしておかないと、子の家計から親の介護費用などを負担しなければなりません。

 

親は、子どもには迷惑を掛けたくないと思っており、子どもも自分の家族の生活があり余裕がありません。

健康寿命(令和元年)男性72.68歳、女性75.38歳(厚労省)を参考にすると、親が70歳、遅くとも75歳までには、親自身の財産管理について子どもと相談してみてはどうでしょうか。

 

また、75歳を過ぎると徐々に自立度が低下していきますので、財産管理について親子が相談する年齢の目安を健康寿命と考えるのも自然かもしれません。なお、健康寿命よりも早めの70歳をめどにすることをお勧めします。

 

 

介護の原因は認知症が最も多い

要介護者等(総数)について、介護が必 要になった主な原因について見ると、「認知 症」が18.1%と最も多く、次いで、「脳血管疾 患(脳卒中)」が15.0%、「高齢による衰弱」が 13.3%、「骨折・転倒」が13.0%となっています。

参照令和4年版高齢社会白書

 

例えば、親が認知症などで判断能力がなくなった場合どうなるでしょうか。なかには、認知症などで判断能力がなくなっても親の銀行のキャッシュカードを持っているので自由に引き出せると思っている方もおられます。

 

ただ、カードの磁器不良や紛失などした場合、カードの再発行は本人確認が必要で、認知症などで判断能力がない場合は成年後見制度の利用をすすめられます。しかも、親のカードを勝手に子が使っている場合には、相続の時に揉める原因にもなります。

 

ご相談例では、親が認知症などで判断能力がなくなった後の相談もあります。自宅が売却できずに介護費用が捻出できないケースや親の貯金は介護費用にあてるには十分あるのですが、認知症で判断能力がなくなり、親の口座からお金を引き出すことができなくなったケースもあります。そのほかにも、親が元気な時に孫が大きくなった時に教育資金などを援助したいと言っていたが、ある日突然、倒れて入院し判断能力がなくなったため、そのような孫への贈与もできなくなったケースなど。

 

 

70歳を目途に介護になった場合の対策を

介護は、前触もなく突然、介護状態になります。その時に判断能力がなくなった場合には、成年後見制度の活用になります。成年後見制度では、後見人は本人(上記では判断能力のなくなった親)のために財産管理を行わなければならないため、孫への贈与は難しいことや、自宅の売却には裁判所の許可が必要等、親が元気だった頃とは全く異なります。

 

子どもは親はいつまでも元気なもの思っていますが、一度、親子のライフプラン等を作成して親の年齢を再確認することも必要かもしれません。事前の準備をしていなかったために、子ども自身が介護費用を負担し経済的に大変になるケースがありますので、親が70歳、遅くとも75歳くらいまでで、元気なうちにライフプランをもとに話をしてみてはどうでしょうか。

介護費用をどうやって賄う?

突然、襲ってくる介護。介護費用はどうのように準備しようと思っているのでしょうか。調査結果からは「年金等の収入でまかなう」と考えている方が63.8%と最も多く、次に「貯蓄でまかなう」が18.3%、それから、大きく離れて「収入や貯蓄ではまか なえないが、資産を売却するなどして自分でまかなう」が3.1%となっています。

※詳細は令和4年内閣府:高齢者の健康に関する調査結果

https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/r04/zentai/pdf/2_3_3.pdf

一方、「介護費用がいくらかかるか」を生命保険文化センターからみると、月々の費用は約8.3万円です。一般的に、親がサラリーマン等の厚生年金受給者であれば、年金収入でまかなえることになり、「年金収入だけでまかなえる」と考えている人が約6割は妥当のようにみえます。

しかし、平均値ではなく、介護費用の分布をみると、「15万円以上」が16.3%で最も多くなっています。

※詳細はこちら(令和3年度生命保険文化センター)

 

 

介護費用が増加すると資産の活用を

介護が重度化するすると、多くの介護費用がかかります。例えば、老人ホームの入居等や手厚い介護を希望する場合などです。施設入所を考える時期はいつ頃でしょうか。

例えば、親が一人でトイレに行けなくなった場合や認知症で徘徊したり、昼夜逆転してしまう等、同居の配偶者や子世代の負担が大きく、日常生活に支障をきたす場合や老老介護で高齢の配偶者が介護をする場合などが考えられます。

 

費用が一般的に安いと言われている公的介護保険施設でも、所得や資産により異なりますが、おおむね5万円~20万円(多床室や個

室、地域、要介護度等により異なる)くらい必要です。

 

介護状態や介護の仕方によって、厚生年金だけでは不十分になる可能性もあるということです。足りない場合も考慮し、以下のような対策も必要です。

持ち家の方は、自宅の活用が有効です。具体的な活用方法には、「リバースモーゲージ」、「家族信託」、「マイホーム借上げ制度」、「自宅の売却」、「更地にして土地を貸す」などです。

介護費用の節約・捻出の方法を知っておくだけでも有益です。できるだけたくさんの情報を集めてみましょう。

まとめ

介護は突然、襲ってきます。介護の原因としては、認知症が最も多く、次いで脳疾患血管です。仮に、認知症などで判断能力がなくなった場合、資産が凍結します。介護費用が親の財産から使えなくなり、子どもが支援する必要がでてきます。親が70歳くらいになれば、介護、医療などを考慮したマネープラン等を立て、子どもと共有することができれば理想です。今後も、介護費用は増加していくと予想され、お元気なうちに自宅を含めた活用なども検討する必要があるでしょう。