自宅を売却して地方へ住み替え

老後の生活を快適に過ごすために、住まいの選択は非常に重要です。「都会から少し離れて、のんびりと過ごしたい」という考えは多くのビジネスマンに共通するものです。
しかし、実際に移住してみると、思い描いていた生活とは異なる問題に直面することがあります。高齢期の住まいを考える際、最も大切なのは「健康」を最優先にした選択肢を選ぶことです。この記事では、実際の事例を通して、高齢期の住まい選びのポイントをご紹介します。
CASE 1: Aさんの教訓
Aさんは都心で定年まで自宅を購入し、仕事の後は都会の利便性を享受していました。定年を迎えたとき、長年の夢だった地方での生活をスタートさせるべく、自宅を売却し、都心から少し離れた地方に引っ越しました。
最初は静かな環境で快適に過ごしていましたが、しばらくすると生活の中で問題が浮かび上がってきました。
最も大きな問題は、救急車が数台しかなく、すぐには来てもらえないことが分かり、Aさんは移住を後悔し始めました。
この経験から、Aさんは高齢期に住む場所を選ぶ際に、「病院の近さ」が非常に重要であると感じました。
CASE 2: Bさんの後悔
次に紹介するのは、独居の高齢者であるBさんの事例です。Bさんは、以前一戸建てで夫と二人三脚で暮らしていましたが、夫が亡くなり、孫たちが遊びに来やすいように「駅から徒歩1分」でスーパーが近くにあるマンションを購入しました。
最初は便利だと感じたものの、孫も大きくなり遊びに来なくなり、また、年齢を重ねるうちに生活が変わり、今ではこの場所に住んだことを後悔しています。
Bさんが後悔している理由は、病院が遠く、急な体調不良や通院が必要な際にタクシーを利用しなければならない点です。
スーパーが近くて便利だったのは良かったものの、医療施設へのアクセスの不便さが高齢期においては大きな問題となったのです。Bさんは今、駅近や便利さを重視することよりも、「病院に近い場所」に住むべきだったと痛感しています。

女性の方が男性より長生き
80歳以上の男女の生存比率はおおよそ男性1に対して女性2だそうです。
また、介護認定の要因としては、認知症以外では、男性が循環器系の割合が大きいのに対し、女性は運動器と違いがあります。
平均寿命も女性の方が長く、高齢期の終の棲家は、女性を中心に考え、しかも、駅近くやリゾート地ではなく、病院や役所等に近い場所がいいのかもしれません。

高齢者の事故は居室が多い?
高齢者(65歳以上)の事故の発生場所はどこが多いのか。以下「東大がつくった高齢社会の教科書」を参考にしました。約6割強が住宅(敷地内を含む)です。
しかも、高齢者の場合、事故にあうと骨折などの重篤な症状になりやすく、また、一定期間安静にしておくと、さらに体力低下を招きます。
75歳以上の高齢者は住宅内のどこで事故が発生しているでしょうか。約3割が居室です。居室を歩いているとき、例えば、寝室や居間で移動中に何かにつまずいて事故にあっています。
なお、家庭内における死因原因は「溺死」「窒息」「転倒・転落」で多くの方が亡くなっています。
これらを十分に考慮して、自宅のリフォームや高齢者住宅等の高齢期の住宅環境を選ぶことは必要です。iない
高齢期の住処は病院の近くがいい?

高齢期の住処を考えるときのポイントは、80歳以降のご自身を想定してみてはどうでしょうか。
80歳以上の高齢者の方々に聞くと、「病院の近くがいい」と聞きます。
アクティブシニアであるうちは「駅から近くの高層マンション」に住みのもいいでしょう。ただし、年齢とともに体力なくなり、病気に罹患しやすくなるのではないでしょうか。
また、専門家の方々からは、高齢期の住まいは、「耐震性にすぐれた建物」や「階段や坂が少ない場所」も考えたほうがよいとも聞いたりします。
地震の多い日本ではいつ大地震がきてもおかしくありません。
そのときに、耐震性のない建物や高層階に住んでいると体力のない高齢者は対応のしようがありません。
まとめ
高齢期の住まい選びは、健康や安全を最優先に考えた選択が必要です。情報を集め、現地を訪れて実際の生活環境を確認することが重要です。病院へのアクセスや事故リスクを減らすための工夫をしっかりと考えた住まい選びを行いましょう。また、住まいが決まった後も定期的に住環境を見直し、必要に応じてリフォームや改善を行うことが、安心して老後を過ごすための鍵となります。
高齢期の住まい選びは、ただの「住み替え」ではなく、未来の生活をより良くするための大きな決断です。健康で安心できる住まいを選ぶことで、充実した老後を迎えることができるでしょう。