老人ホームを選ぶのはやはり難しい。介護者(娘さん)から次のようなお話を聞きました。認知症の親をホームに入居させたが、3か月くらいで体重が激減したので、すぐに在宅で親を介護することにしたそうです。
最初にホームを選んだ時は、スタッフの一生懸命な姿や施設長のお人柄など出来る限りの検討したのですが、今になって思うと、スタッフさんの退職など異動が結構あったのが原因ではないかと思っています。
ホームを選ぶときには、スタッフさんの退職状況など勤続年数も視野に入れて、事前に情報収集を行い、重要事項説明書をしっかりと読み解く必要があるでしょう。
有料老人ホーム選びの3つのポイント
有料老人ホームを選ぶ時にどのような注意をし、どう選択すればいいのでしょうか。
基本的な判断材料としては「場所」「お金」「サービス(ソフト面)」の3つに注意します。
場所
介護状態になっている親に寂しい思いをさせないためにもなるべく家から近い施設を選ぶようにします。家から施設が遠いと、訪問するにも交通費や時間などがかかり、訪問回数が自然と少なくなり、親が寂しい思いをします。
お金
ゆとりある資金計画を立てる必要です。例えば、通院への付き添い介助費用や居室配膳など手厚い介護を希望する場合には上乗せ費用が発生し、当初の想定費用を上回り資金が厳しく退去せざるを得なくなる場合もあります。また、ホーム等に入居中、長期入院になった場合には、ホーム代と入院費の二重の費用が発生するなどの最悪の事態を想定し「契約書」や「重要事項説明書」等から確認する必要があります。
サービス(ソフト面)
実際に施設を訪問し、体験入居するなどして「希望するサービスの有無」や「サービスの質」に対しても可能な限り確認し、介護状態になっている親の表情および家族が納得して決める必要があります。特に介護の労働市場は流動的であるので「サービスの質」については、現状がよくても将来的にはわからないのが現実です。
そのためにも、介護スタッフの退職率や勤務年数などを聞いてみてはどうでしょうか。やむを得ない事情で退職や異動はあると思います。確かに、せっかくいいと思った施設長やスタッフがすぐに退職してしまうと決め手を失ったも同然です。
ただ、退職や異動等仕方ありませんので、入居するときには、他施設と比較して、「退職率が少なく」「勤続年数の長いスタッフが多い」を選ぶ時の基準に加点して総合的に考えてみてはいかがでしょうか。
前払金の有りは、長期入居で費用が少なくなります
有料老人ホームに入居したときに「前払金(一時金)の併用」と「前払金(一時金)なし」プランはトータル費用はどちらが得でしょうか。「前払金」はだいたい5年償却というホームが多く、「前払金を支払っている」場合は、「支払ってない」場合よりも月々の支払いが少なくなります。
「前払金あり」ケースでは、長期入居(おおよそ7年以上)の場合、トータルで「前払金なし」よりも費用が少なくなります。入居を検討する場合、候補の有料老人ホーム代のシミュレーションをおすすめします。
※各ホームで償却なども違っており、「前払金」の有無でのランニングコストの比較を施設で確認しましょう。また、おむつ代は重たい費用になりますのでシミュレーション時に分かる範囲で加算しておきましょう。
資金計画の簡易計算(予算)
有料老人ホームの入居を考えるときに重要なのは資金計画です。前払金、月額費用、オプション費用、病気になった場合の費用等あらゆる場面を想像して資金計画を立てること重要です。
今後入ってくる収入や蓄えなどから支払える前払金や毎月支払える費用などが算出できます。
下記が簡易計算になります。
月額支払い可能額=(現預金など資産-前払金)÷入居期間+年金収入
例えば、親御さんの預貯金が1,500万円、前払金が500万円、年金収入が15万円、入居期間が10年と仮定した場合、毎月の支払い可能額は約23万円になります。
※ホーム代が毎月23万円、年金収入15万円のため、毎月8万円の赤字です。ただし、預貯金が1,000万円あるので毎月8万円取り崩し、10年間で960万円となり、10年後に40万円の残額となります。
問題のある有料老人ホームの決め方
問題点を大きく3つわけると次のようになります。
- 有料老人ホーム紹介業者に任せきりで、ご自身の選ぶときの判断基準がない
- 今の施設長やスタッフからしか判断していない(転勤が有無、退職率等の確認)
- 月額使用料の把握が甘い
この3つの中でも、施設長やスタッフの異動等は絶対にわかりません。ただし、転勤があるホームなのか、退職率などを参考することはできるでしょう。上記3つを最低限押さえてみてはどうでしょうか。
まとめ
有料老人ホーム選びは難しく、紹介業者に丸投げする人もいるでしょう。紹介業者はあくまでも情報収集の位置づけと捉えてみてはどうでしょうか。候補が決まれば、実際に訪問して施設の雰囲気や施設長、スタッフの皆さんの応対等を注意深く観察しましょう。
また、資金計画は重要です。いくら気に入った施設でもお金が足りない、特にランニングコスト(毎月の費用)です。前払金は、入居するときに把握できるので候補から除くことはできますが、ランニングコストを見誤ると途中で資金が足りなくなり退去せざるを得なくなります。例えば、入居中に病気になり入院するなど想像力を働かせて計画を立てることもおすすめします。