相続手続きは大変
相続は面倒くさい。高齢になると役所に何度も行ったり、書類に目を通したりすることが大変です。頼りの子どもたちは、仕事が忙しかったり、生活に追われていたりで、なかなか時間が取れないのが現状。
相続手続きを終わった方からよく「人、一人亡くなると大変」だという言葉を聞きます。最愛の家族を亡くされ、精神状態も安定しない中で、煩雑な手続きをしなければなりません。私も、母親が亡くなったときに、高齢の父親は精神的に落ち込み、全く何もできない状態でした。
そのとき父親が、「一人だったら何もできない」と言っていたのを思い出します。このように100種類以上もある大変な手続き、一体どのような手続きがあるのでしょうか。
<基本的に必須の書類>
- 生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
上記3つを基本的に準備して、「手続き先の所定の用紙」や「遺産分割協議書」に実印を押して、相続手続きをすすめていきます。ただし、様々な理由があり多くの手続きが必要になります。例えば、相続人のなかに認知症の方、未成年者、行方不明の方等の場合もあります。また、故人の方が多額の借金をしていたり、様々です。
公正証書遺言は公証役場で
以下、主な手続きの流れは次のようになります。
①遺言書の有無の確認理由
遺言書には、一般的に利用されるのが「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」です。仮に、故人から公正証書遺言を作ったと聞かされていた場合、どうやって探せばいいのでしょうか。
日本公証人連合会の遺言検索システムを利用して遺言書の有無を確認する方法があります。そのシステムによって故人のお名前と生年月日から作成した公証役場と時期の特定ができます。また、原本を保管しているその役場で謄本を交付してもらうこともできます。
<必要書類>
- 遺言者の死亡が確認できる戸籍など
- 亡くなった方との利害関係を証明できる記載のある戸籍
- 請求者の本人確認書類
②相続人の確認
③相続財産の確認
④遺産分割協議書の作成
⑤各種手続き・税務申告
※税務申告は、相続の開始を知った日(通常は故人の死亡日)の翌日から10カ月以内に行うことになっています。
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役所への主な手続き
親が亡くなった場合、役所関係だけでもどのような手続きがあるでしょうか。
<役所関係への主な手続き>
- 死亡届の提出
- 死体火葬許可申請書の提出
- 世帯主変更の提出
- 印鑑証明カード・マイナンバーカードの返却
- パスポートの返却
- 運転免許証の返却
- 後期高齢者医療被保険者証の返却
- 介護保険証の返却
- 身体障害者手帳等の返却
- 高額療養費の請求
- 高額介護サービス費の請求
- 葬祭費の請求
- 遺族厚生年金等の請求
- 未支給年金の請求など
役所だけでも大変です。その他、金融機関の解約、不動産の相続登記、生命保険の請求、有価証券の引継ぎ、クレジットカードの解約、所得税の準確定申告、相続税の申告などまだまだあります。
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銀行口座の解約手続き
相続が発生すると、亡くなられた方の口座の有無を調べる必要があります。例えば、故人がどこの銀行に口座を持っていたかを調べる必要があります。多分、年金口座はわかるものの、他にも金融機関の口座があるのかわかりません。そのときに口座照会という手続きを行います。通常、お名前、生年月日、住所で紹介をします。住所は戸籍の附票に載っている住所で行うと確実です。
銀行口座の有無がわかれば、口座の解約や名義変更の手続きが必要になります。手続きに必要な書類は各銀行に異なってきますが、基本的には、相続人全員の実印と印鑑証明書が必要。また、遺言の有無や遺産分割協議書の有無等によって必要書類は異なります。なお、金額が少ない場合は、簡易手続きで代表者のみの実印で手続きできるところもあります。
<必要書類>
- 銀行所定の用紙
- 亡くなられた方の通帳・キャッシュカード
- 亡くなられた方の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
- 遺産分割協議書や遺言書
手続きで大変なのは「亡くなられた方の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本の取得」等です。亡くなられた方の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本の取得は、次のようにすすめていきます。
- 亡くなった人の死亡時の本籍地のある市区町村役場で、最後の戸籍から遡ることのできるところまでを取得します。
- そこで最も古い戸籍の記載を確認して、その前はどこの市区町村役場に請求したらよいのかを確認します。
- 管轄の役場が遠方の場合は、郵送で請求することも可能です。その場合は定額小為替を代金として同封します。
出生の戸籍が揃うまで繰り返しこの作業を行います。亡くなった人の戸籍がすべて揃ったら、その記載から法定相続人となる人の戸籍謄本を取得し、その法定相続人の中で亡くなっている人がいた場合は、その人の出生から死亡までの戸籍を再度取得する必要があります。このような作業を繰り返して法定相続人を確定させます。
書類が揃えば金融機関に提出して不備がなければ無事終了です。
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まとめ
このように亡くなると多くの手続きが必要となります。しかも提出先がそれぞれ異なり、高齢者にとっては重労働です。出来る限り子どもや孫等が協力して手続きをすすめるか、もしくは、専門家に依頼することも検討してみてはどうでしょうか。