65歳以上の介護保険料の計算はどうなる

第1号被保険者の保険料は、市町村ごとに3年を1期として策定する介護保険事業計画に基づいて決定されます。現在は第8期計画期間(令和3年度~5年度)です。その保険料の算出については、介護サービスにかかる費用や第1号被保険者の人数、所得水準等が基礎となります。そのため各市町村によって状況が異なるため、各市町村によって保険料は違います。ご参考までに令和3年5月14日に厚生労働省から公表された資料になります(例えば、最も高い都道府県は大阪府と沖縄県の6,826円、最も低い都道府県は千葉県は5,385円)

国が示す標準例は9段階ですが、市町村によっては所得基準をより細分化して16段階等にしている自治体もあります。

第8期(令和3年度から令和5年度)の全国の介護保険料額(月額・加重平均)は6,014円です。過去の保険料の平均をみると第1期は2,911円、第2期3,293円、第3期4,090円、第4期4,160円、第5期4,972円、第6期5,514円、第7期5,869円です。介護保険制度が始まって以来、約2倍を超えて増加したことになります。高齢者の方々にとっては今後も負担増が予想されそうです。

 

 

第1号被保険者の介護保険料はどうやって計算されているのでしょうか。杉並区の例をみながら計算しましょう。介護保険料は当該年度の4月1日現在の世帯状況前年の合計所得金額等をもと次の表(杉並区HPより)から計算されます。

 

※下記はイメージ図(一部抜粋)になります。詳細は杉並区のHPの介護保険料をご覧ください。

 

 

ケース1

老齢年金収入60万円、ひとり暮らし、82歳のお母様の場合(住民税非課税)。第1段階であるため年間22,440円になります。

 

ケース2

老齢年金収入60万円のお母様(住民税非課税)と派遣社員で働いている娘さん(住民税課税)が同居している場合。お母様(本人)が住民税非課税で他の世帯員(娘さん)が住民税課税であり、お母様(本人)の合計所得金額と課税年金収入額の合計が80万円以下のため、上記表より第4段階になります。4段階の場合、介護保険料は年間63,000円になります。このようにお母様の収入は変わりませんが、現役世代(住民税課税)のお子さん等と同居した場合とでは介護保険料が年間40,000円くらい多くなります。

 

ケース3

一人で暮らしていた実家のお母様(老齢年金60万円、住民税非課税)のもとに娘さん(住民税課税)が離婚をして戻ってきたと仮定しましょう。娘さんは仕事を続けており将来的にはまた実家を出て生活するつもりです(お母様とは生計は別です)。「生計を別」にしているため、娘さんとお母様は住民票上では世帯主をお母様と娘さんの2人にすることができます(世帯分離という)。

 

このとき、お母様の介護保険料はどうなるのでしょうか。お母様と娘さんは別世帯のため、お母様は単身世帯になります。よって、介護保険料は上記の表より第1段階の22,440円になります。

 

 

<まとめ>

65歳になると介護保険証が届き、第1号被保険者となります。また、65歳以上の方の介護保険料は各自治体により異なります。ご参考までに全国平均は月6,014円です。介護保険料は、「当該年度の4月1日現在の世帯状況」と「前年の合計所得等」で保険料が決まる仕組みになっていますので65歳前に制度を十分把握しておきましょう。