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「子供もいない夫婦」や「おひとりさま」の終活準備は?

人生100年時代、元気なときから認知症などで不健康な期間が10年くらいあると想定されます。「子供がいない夫婦」など将来的に一人となったとき、次のような場合どうしますか?

  • 身体が不自由になったときのお金の入出金など細かいお金の管理が心配
  • 入院・介護保険の手続きや病院・施設への支払いが心配
  • 認知症など判断応力が低下したとき、自分で決めた人にお願いしたい
  • 判断応力が低下したときに気付いてもらいたい
  • 葬儀、お墓、遺産について自分の希望がある
  • 兄弟は同じような年齢なので負担を掛けたくない
  • 甥・姪には迷惑を掛けたくないので、専門家に頼みたい
  • ご自身が不自由になったときに頼める友人がいる

【見守り契約】

元気で判断能力もある方が、定期的に訪問や連絡などして健康状態や生活状況等の様子を見てもらえる契約です。この見守りサポートにより判断能力が低下したときにすぐに対応できます。私の親も地方(遠距離)で一人暮らしをしていたときがあり、見守りサポートは必須だと実感しました。当初は、私自身で親の状況は「頻繁に電話して話しているので問題ない」と思っていました。ただ、後々分かったのですが、親は子供に心配を掛けたくないので「元気だよ」しか言わなかったのです。いつでも様子を見に行ける信頼できる人にお願いするか、専門家等へ依頼しておけば安心です。

 

また、その他では、このようなお話も聞いたことがあります。その方(Aさん)は同じマンションの方(Bさん)と非常に仲が良く、毎日決まった時間に電話をして、「今日は何時に会おうね」と約束をしていたそうです。しかも毎日の日課だそうです。ある日、BさんはAさんと連絡がとれなかったので、急いで部屋に駆けつけたそうです。そのとき、Aさんは部屋で倒れており、Bさんがすぐに対処したので大事には至らなかったそうです。Aさんは本当にBさんのおかげで助かったと感謝されていました。この例からも、早く駆けつけられる距離に住んでいる信頼できる人がいるといないかでは命にかかわる可能性があります。

 

【財産管理等委任契約】

判断能力ある方が、傷病などにより「車いす生活」や「寝たきり状態」などで自らの財産管理や日常の事務等が困難となる場合に備えて、信頼できる人に、自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約です。

 

【任意後見契約】

任意後見契約とは判断能力のある方が、将来、認知症などにより意思表示ができなくなった場合に備えて、財産管理や身上保護を代理してもらう人を予め選んでおくこと(ご自身で信用できる人に依頼する)のできる契約です。平均寿命がのびている中で認知症への対策は必須です。認知症を前提とした対策を立てることをおすすめします。なお、任意後見契約は必ず公正証書で作成しなければなりません。

 

【遺言】

子供のいない夫婦の場合、遺言がないと全ての相続人が遺産相続の対象になります。具体的には、夫婦どちらかが先に亡くなれば、遺された配偶者は常に相続人になります。次に、両親がすでに亡くなっていれば、今度は、亡くなった人の兄弟姉妹が相続人になります。また、もし、兄弟姉妹が亡くなっていればその子供である甥や姪が相続人になります。つまり、場合によっては、全く面識のない甥や姪に自分の財産が渡ってしまう可能性があります。そのためにも遺言が大切です。

 

 【身元引受契約】

入院や施設入所等が必要になったときに、身元保証人を事前に信頼できる人等の第三者に依頼する契約です。依頼する場合は、様々な事業者が参入していますので、信頼できる方にご相談してから決めましょう。

 

【死後事務委任契約】

死後の諸手続き、葬儀、埋蔵等に関する事務等を信頼できる人などに依頼しておく契約です。

 

【尊厳死宣言】

回復の見込みのない末期状態に陥ったときに延命治療を選択しないという尊厳死宣言という書面を残します。

 

これらのうちご自身のライフプランに合った組み合わせで対策をしましょう。