特養の費用は、約10万円強?(資産状況等によって異なります)
遺族年金を受給している母親ですが、仮に要介護5になった場合、介護老人福祉施設(以下特養という)に入所すると月いくらかかるのでしょうか。母親のプロフィールは以下の通りです。
- 80歳で一人暮らし
- 要介護5
- 収入は、遺族厚生年金9万円に老齢基礎年金5万円を加えた14万円(月額)のみ
- 住民税非課税世帯
- 貯蓄は定期預金に200万円
- 自宅(地方)は持ち家で将来は誰も住む予定はない
- その他には資産はない
上記のような収入・資産の場合の特養(ユニット型個室)へ入所した場合は次のようになります(施設などによって異なりますので、基準額での計算をしています)。
1ヶ月の自己負担額は、「サービス費用」に「居住費・食費」、「日常生活費」を足した金額になります。
なお、「居住費・食費」は「特定入所者介護サービス費」として介護保険から給付され、上限額を超える利用者負担はありません。
「特定入所者介護サービス費」を利用するためには負担限度額認定を受ける必要があります。
- 「サービス費用」は母親は住民税非課税のため1割負担で約28,650円
- 「居住費(ユニット型個室)」は、課税年金収入額(60万円/年)に非課税年金額(108万円/年)を加えた額が120万円超えるため利用負担限度額が第3段階②となり、1日当たり1,370円、30日の場合41,100円
- 「食費」も同様、利用者負担限度額は第3段階②のため1日1,360円、30日で40,800円
- 日常生活費は約10,000と仮定
遺族年金を受給している母親の1ヶ月の自己負担額は、「サービス費用28,650円」に「居住費・食費の合計81,900円」「日常生活費10,000円」を加えて120,550円になります。
母親の年金額の範囲内で賄えます。
しかも、母親は住民税非課税で課税年金収入額が80万円以下のためサービス費用の自己負担上限額が15,000円/月になり、約3ヶ月後に28,650円との差額13,650円が高額介護サービス費として戻ってきます(申請が必要)。
高額介護サービス費を考慮すると実質自己負担額は106,900円/月になります。
ご参考までに、上記の例で遺族厚生年金ではなく老齢厚生年金が9万円であった場合は、課税年金収入額が168万円となり、特定入所者介護サービス費(補足給付)がなくなります。
その結果、1ヶ月の自己負担額は約14万円になります(参考:厚生労働省 介護サービス情報公表システムより)。
しかも、高額介護サービス費も自己負担上限額が1ヶ月44,400円で範囲内のため「サービス費用」も28,650円そのままになります。

【ご参考】
負担限度額認定の要件は次の1.2の全てに該当する必要があります。
- 所得要件 住民税非課税世帯の方。ただし、別世帯の配偶者が課税されていると対象外。
- 資産要件 【第1段階】預貯金等が単身1,000万円以下(夫婦2,000万円以下)【第2段階】預貯金等が単身650万円以下(夫婦1,650万円以下)【第3段階①】預貯金等が単身550万円以下(夫婦1,550万円以下)【第3段階②】預貯金等が単身500万円以下(夫婦1,500万円以下)
【第1段階】⇒居住費(ユニット型個室の場合30日)で24,600円、食費(施設入所の場合30日)で9,000円
- 住民税非課税生活保護受給者または世帯全員が住民税非課税で本人が老齢福祉年金受給の方
【第2段階】⇒居住費(ユニット型個室の場合30日)で24,600円、食費(施設入所の場合30日)で11,700円
- 世帯全員(一人世帯含む)が住民税非課税で本人の合計所得と課税年金収入額と非課税年金収入額の合計が80万円以下の方
【第3段階①】⇒居住費(ユニット型個室の場合30日)で39,300円、食費(施設入所の場合30日)で19,500円
- 世帯全員(一人世帯含む)が住民税非課税で本人の合計所得と課税年金収入額と非課税年金収入額の合計が80万円超120万円以下の方
【第3段階②】⇒居住費(ユニット型個室の場合30日)で39,300円、食費(施設入所の場合30日で)40,800円
- 世帯全員(一人世帯含む)が住民税非課税で本人の合計所得と課税年金収入額と非課税年金収入額の合計が120万円超の方
【第4段階(基準費用額)】⇒居住費(ユニット型個室の場合)30日で60,180円、食費(施設入所の場合30日)で43,350円)
- 住民税課税世帯
まとめ

遺族年金を受給している場合、特養などの公的施設費用は月額約12万円で、遺族年金の範囲内で賄える可能性があります。
ただし、一定の預貯金がある場合は補足給付の対象外となり、遺族年金だけでは足りないこともあります。
さらに、遺族年金の額や施設の費用は地域や施設によって異なるため、思った以上に費用がかかる場合もあります。
だからこそ、事前に次のような点を整理しておくことが大切です。
- 公的施設と民間施設、それぞれの費用の違い
- 遺族年金や貯金でまかなえるラインはどこか
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