親の認知症と介護

2025年には、高齢者約5人のうち1人が認知症になるとの推計があります。ご参考までに「厚生労働省より令和元年6月20日の認知症施策の総合的な推進について」のなかに75歳から79歳での認知症有病率は男性9.6%、女性11%でしたが、85歳から89歳では男性35.6%、女性48.5%です。

 

特に女性は90歳まで約半数の方が生存されています。その半数の方が認知症ということになります(出所:認知症施策の総合的な推進について)。このように高齢になればなるほど発症リスクが高まります。

 

私の親は75歳を過ぎたころから物忘れが徐々にひどくなり、同じ話を繰り返すようになってきました。親は田舎で一人暮らしであったため、電話での会話がほとんどでした。

 

電話では、何度も同じ話になるので、うんざりして電話を切ったことも何度もありました。例えば、親が「生命保険に加入しようと思っているがどう?」私は「・・・・・・・だから無理だよ」と答えると、また、すぐに「生命保険に加入しようと思っているがどう?」と聞かれ何度も繰り返すので最終的には電話を切ってました。

 

本日は、全国区の講演等で活躍される認知症ケアの第一人者である川崎幸クリニック院長の杉山孝博先生の講演から私自身が親の言動との比較から記憶に残ったお話を紹介いたします。認知症の方々の気持ちや言動を理解するに非常に参考になりました。

 

私の親は「今言ったことをすぐに忘れる」同じ話を何度もするという症状でした。杉山先生が言われている認知症の症状を理解し上手に対応が可能になるように工夫した「認知症をよく理解するための9大法則・1原則」のうち私の親にあった部分をご紹介いたします。

第1法則では、「記憶障害に関する法則」で以下3つが特徴だそうです。

  • 記銘力低下
  • 全体記憶の障害
  • 記憶の逆行性喪失

私の親の症状は、上記のうち「記銘力低下」に当てはまりました。

 

「記銘力低下」の特徴は、話したことも見たことも行ったことも直後には忘れてしまうほどのひどい物忘れであり、同じことを繰り返すのは毎回忘れてしまうためだそうです。

 

親にとっては「生命保険に加入しようと思っているがどう?」と私に聞くのは、はじめて「保険の話をしている」という感覚なんでしょうね。

 

ただ、何度も同じことを聞かれると私自身「今話したじゃないの」という気持ちになります。また、言い方や理由を変えて説明するのですが何度も聞かれるため電話を切ったりしました。

 

その気持ちの原因は

①わずらわしい

②説明するためのネタが切れるからだそうです。特に②のほうが必ず潜在的にはあり、対策として、説明するためにあれやこれやと考えずに同じ説明をする。

 

このように対応すれば、説明のネタを考える必要がなく非常に気が楽になるそうです。確かに親は言った直後に忘れているのですから、同じことを言っても大丈夫ということになります。

 

もしくは、親が言ったことと「同じこと」を言って対応するのも一つだそうです。

 

そもそも認知症でない方でも、出かけたあとに、ガスの閉め忘れ等なかったか心配になって自宅に戻る場合があります。重要なことは何度も確認するという行動をします。

 

また、大切な話をする場合には、2度、3度繰り返し伝えます。このように同じことを繰り返す言動等は問題ないのですが、(認知症か否かの線引きになるのが)4度目になると認知症の可能性が疑われるそうです。

 

その他にもいろいろ参考になるお話が多く大変参考になりました。

 

2025年には認知症患者が約700万人との推計され、50代~60代の世代の方々の親御さんが認知症になる確率が多い年代になります。

 

万一に備えて、お金の対策だけではなく認知症の親との対処方法等を知ることで子世代の方々の気持ちが少しでも楽になるのではないかと感じています。少しずつでも情報収集をしてみてはいかがでしょうか。