介護を想定したライフプランを立てるときの留意点は、施設代や入院費が二重にかかる可能性があります。
例えば、現在、Aさんは、さまざまな介護施設を併設している自立型のケアハウス(同グループ)に入所していると仮定します。
要介護1(初めての認定から)です。
アルツハイマー型認知症を発症しています。
ケアハウスの施設代は月額約10万円です。
体調が悪化した場合、当然、今入っているケアハウスでは対応できません。
同施設内にある介護老人保健施設(以下老健と記載)への一時的な入所を検討する必要があります。
体調が回復するまで老健に入所し、回復後は、ケアハウスに戻ってくる予定です。
このような場合、老健に入所している間もケアハウスの施設代約10万円の支払いはあります(厳密には食事代分が安くなります)。
加えて、老健の費用が個室であれば約12~13万円、多床室であれば約9~10万円必要です(1割負担)。
このように医療行為のできない施設などに入所している場合には、ダブルでお金が掛かる可能性がありますので、頭の片隅に留めておいてください。
さて、Aさんの今後についてどのように変化していくのかを想定してみます。
(※以下参考資料:公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団 ダイヤニュースNO91より)
介護1の場合、1年後には今と変わらず要介護1である割合は53.6%と半数を超えています。
改善している割合は8.4%、悪化している割合は19.4%、死亡している割合は10.2%です。
次に新規認定日から5年後の状態をみると、要介護1では死亡が47.1%と半数近くを占めていました。
一方、悪化している割合は、26.5%であり、介護費用の負担が徐々に増えていくと思われます。
また、要介護5がはじめての認定の場合には、1年後は今と変わらず要介護5である割合は36.5%、死亡している割合は44.8%です。
次に新規認定日から5年後の状態をみると、要介護5では死亡が79.4%と8割近くを占めていました。
このように、5年経過すると、要介護1でも半数近くの方が亡くなり、要介護5では約8割の方が亡くなっています。年齢にもより異なるとは思います。
要介護認定を受けた場合には、判断能力のあるうちに、介護費用の捻出やお葬式代の費用などを視野に入れたお金の準備が必要です(すでに準備されている人は別)。
例えば、要介護1(要介護認定などによる障害者控除の適用は各自治体により基準が異なる)の認定を受けた場合には、確定申告時に障害者控除を適用することにより所得税・住民税が少なくなる自治体もあります。
また、要介護認定を受けていても加入できる生命保険もあり、お葬式代の準備にもできます。
この他にも、任意後見制度や民事信託などを活用して自宅の売却による介護費用の捻出やリバースモゲージによる資金の確保なども考えられます。
早めの準備に越したことはありませんが、要支援・要介護になった場合でもあきらめずに情報を収集して、少しでも費用の捻出をしましょう。