今後、認知症が増えていく中で、認知症などで判断能力がなくなり、法定後見制度を利用する場合にいくら費用がかかるのでしょうか。親のライフプランを考えるにあたって重要な要素になります。
申立てにあたって必要な費用(参照:法務省:成年後見制度)
- 申立手数料 800円(後見)
- 登記手数料 2600円
- 切手代 家庭裁判所により異なります(大体3000円~5000円)
- 鑑定料 ほとんどの場合10万円以下
合計で10万8400円以下となります。
その他に専門家に代理申立てを依頼する場合には10万円~20万円かかります。
よって、キャッシュフロー表を作成するにあたって、専門家への報酬を合わせて鑑定料が必要な場合でも、大体10万円強~30万円くらいみておけば十分かもしれません。
その後は、ランニングコストとして、専門家が後見人に選ばれた場合には、基本報酬2万円(毎月)、管理財産額が1000万 円を超え5000万円以下の場合には基本報酬額を月額3万円~4万円、管理財産 額が5000万円を超える場合には基本報酬額を月額5万円~6万円となります。
例えば、女性、85歳時に後見開始したと仮定すると、当初費用が30万円、財産管理額が1000万円の場合、毎月専門家への報酬が2万円で年間24万円必要です。
85歳に平均余命(平成30年簡易生命表)から11.91年、約12年で計算すると12年×24万円=288万円になります。
このように300万円を超える費用が必要になります。
認知症になる前に、家族信託などを検討することも必要かもしれません。
ご参考までに、平成30年1月~12月の成年後見関係事件の概況から
- 申立人は本人の子が最も多く約24.9%、次に市区町村約21.3%
- 開始原因は認知症が最も多く約63.4%
- 申立ての動機は、預貯金等の管理・解約が最も多く、次に身上監護
- 成年後見人等と本人との関係についてでは、親族以外が成年後見人等に選任されたものは全体の約76.8%、親族は23.2%
申立ての動機は、やっぱりというか、親の預金が凍結されるということですね。
また、今年に入り、最高裁の基本的な考えは、「後見人にふさわしい親族など身近な支援者がいる場合は、本人の利益保護の観点から親族らを後見人に選任することが望ましい」と提示したそうです。
今後、後見人に親族の割合が徐々に増えていくと思います。