地方に住む親のお話ですが、当時、76歳くらいだったと思います。
私が東京から帰省した時に、真夜中に、親が起きて台所をウロウロしていました。
私は、目が覚めて親に何をしているのか聞いたところ、「カップラーメン」を作っていると回答がありました。
そこで、私は周りを見渡したところ、カップラーメンはなく、「作ってない」ことを親に伝え、そのまま寝かせました。
翌日、親に昨日のことを話したところ何も覚えていなかったのです。
そこで、私は、親を病院に連れていったのですが、お医者さんの質問に、親は「何もなく、元気だ」といい、お医者さんは「本人が大丈夫であるといっている」ので、結果、何もなく終わりました。
数か月後、「物忘れ」が多くなり、今言ったことも覚えていない状態が続きました。
そこで、帰省した折に、再度、前回とは違う病院に連れていき、MRIでの検査を行いました。
結果、アルツハイマー型認知症という診断を受けました。
物忘れ以外は会話も全く普通で、他の人からは認知症とは思われない状況でした。
当然、物忘れがあるため、日常生活には支障が少なからずあり、一人暮らしだったので、社会福祉協議の方に相談して時々様子を見に行っていただき、非常に助かりました。
その結果、一人での生活は難しいということでケアハウスに入所しました。
このように、認知症になると一人での生活は難しく、今後は、徐々に、金銭管理や判断能力もなくなっていくと思います。
判断能力がなくなると、「親の預金口座からの引出し」が家族だからといってできるわけではありません。
特に、最近は本人確認が厳格になっています。
その他にも、「不動産の売却・賃貸借・建設・修繕」、「生前贈与」、「遺言書の作成」、「生命保険の加入」、「養子縁組」、「遺産分割協議への参加」、「民事(家族)信託」、「信託銀行などの信託商品の購入」などもできません。
つまり、認知症などで判断能力がなくなると、成年後見制度(ここでは、法定後見のこと)を利用するしかありません。
成年後見制度はあくまでも認知症になった本人の財産を守ることを基本とするため、多くの制限があります。
しかも専門家が後見人になった場合には経済的負担が長期間にわたってしまう可能性があります(経済的負担が大変だからといって、勝手に取りやめることはできません)。
判断能力がなくなる前に対策を講じる必要があります。
最近では、新しい財産管理の手段として、民事(家族)信託の活用があります。
ざっくりいうと、「家族の家族による財産管理」と言えるかもしれません。
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