両親が介護で入所した場合の介護費用

Q.高齢の両親(85歳の父親と80歳の母親)がともに特別養護老人ホームに入所した場合、お金はいくらくらい毎月必要でしょうか。

 

A.所得状況や資産状況などで変わります。例えば、父親が年金収入だけで年間220万円、母親も年金収入だけで年間60万円、資産は自宅(現在空き家)と預貯金は「ほとんどなし」とした場合のシミュレーションをしてみます。なお、両親とも要介護5、医療費無し、住民票は自宅の住所で世帯主父親、世帯員が母親と仮定します。

 

厚労省によると要介護5でユニット型個室に入所した場合は、居住費約6万円、食費約4.2万円、介護サービス費(1割)約2.75万円、その他日常生活費約1万円で合計約13.95万円と試算しています。

 

住民税課税世帯であるため、両親で約27.9万円となります。毎月28万円弱のお金がかかります。ただし、高額介護サービス費の上限が4.44万円であり、1.06万円は戻ってきます。実質約26.9万円になります。

 

平成29年平均余命を用いると、男性85歳時の平均余命は6.26年、女性80歳時の平均余命は11.84年です。介護状態であるため、余命は、平均余命よりは短くなると考えられますが、男性を6年、女性を11年で仮定し計算すると、男性が亡くなるまでは、年間約27万円×12か月=324万円 324万円×6年=1944万円、その後は、母親は住民税非課税世帯となるため、居住費や食費の軽減制度が活用でき、高額介護サービス費も月に1.5万円が上限となります。その結果、毎月の費用は少なくなり、年間は約8.5万円×12か月=102万円  102万円×5年=約510万円となります。合計約2454万円です。

 

一方、両親の年金収入が約280万円ありますので、280万円×6年=1680万円の収入があります。父親が亡くなった後は遺族年金を概算で約110万円と仮定すると、母親の年金収入は約170万円となります。約170万円×5年=850万円

合計は2530万円となります。

 

合計だけをみるとプラスですが、父親が亡くなるまでの6年間は、年間で約44万円のマイナスです6年間で約264万円のマイナスになります。このように、両親ともに介護保険施設に入所した場合には、年金収入だけでは不足しています。空き家となっている自宅の売却とかできれば介護費用を補うことができます。しかも、今後、介護保険制度等の内容が変わらない前提になっていますので、実際には、介護費用はもっと必要になると思います。

 

元気なうちに自宅の活用を視野に入れておく必要があります。例えば、自宅の売却、リバースモーケージ、リースバック等による資金化や、自宅を家族信託で信託財産にし、自宅を売却して介護費用に充てることも考えられます。元気はうちに財産管理の対策をしっかりと準備することが重要です。

 

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カワムラ行政書士事務所