特養の入所条件で預貯金が多いと入所できない?

預貯金が多くても特養などに入所することはできます。ただし、優先度は高くはないでしょう。また、住民税非課税で預貯金も少ないと「居住費・食費」の軽減の対象になる可能性があります。 

平成27年(2015年)8月の改正

介護保険3施設に入所する場合、食費・居住費について低所得の方は申請により自己負担額が少なくなることがあります(特定入所者介護サービス費)。

軽減対象になるには、次の要件があります。

  1. 所得要件 住民税非課税の方。ただし、課税世帯や別の世帯の配偶者が課税されている場合は対象外。
  2. 資産要件 預貯金等が単身で1000万円以下夫婦で2000万円以下の方。(2019年時点)

上記1,2で対象外の場合でも入所はできますあくまでも、食費・居住費の軽減の対象にはならないだけです

 

さて、例えば、夫(住民税課税)、妻(住民税非課税)がこの度、特養に入所して妻の住民票が特養に移ったとします。

平成27年7月までは、住民税非課税で住民票の住所が夫と違うため特養での「食費・居住費」は軽減対象になっていました。平成27年8月から上記1,2が適用となり、夫が住民税課税であるため、特養での食費・居住費の軽減の対象外となりました。介護保険の改正は経済的にインパクトがありますので注視しましょう。

 

令和3年(2021年)8月から改正

令和3年8月から、資産要件が変わりました。従来は、単身の場合、預貯金等が1,000万円以下、夫婦の場合は、1,000万円加算した2,000万円以下であれば、「居住費・食費」の軽減対象でした(所得要件⇒平成27年から変更なし)。

令和3年8月からは次のようになりました。

 

  1. 年金収入等※80万円以下(第2段階)の場合、単身 650万円、夫婦 1,650万円
  2. 年金収入等 80万円超120万円以下(第3段階①)の場合、単身 550万円、夫婦 1,550万円
  3. 年金収入等 120万円超(第3段階②)の場合、単身 500万円夫婦 1,500万円 

※公的年金等収入金額(非課税年金を含みます。)+その他の合計所得金額。

預貯金等とは?

預貯金等に含まれるものは、次のものになります。また、借金(借入金や住宅ローンなど)がある場合は、預貯金額から控除します。

  1. 預貯金(普通・定期)
  2. 有価証券(株式・債券など)
  3. 金・銀など(時価評価額が簡単にできる貴金属)
  4. 投資信託
  5. 現金

預貯金等の対象にならないものは生命保険、自動車、腕時計、宝石などの時価評価額の把握が難しい貴金属、絵画、骨董品、家財などになります。

まとめ

預貯金が多いからといって、特別養護老人ホーム等の公的介護施設に入所できないことはありません。ただし、特養は申込順ではなく優先度で決まるため、預貯金が多いと優先度は高くないでしょう。

 

また、住民税非課税世帯であれば(配偶者も非課税)、預貯金が少ないと公的介護施設では「居住費・食費」の軽減対象になります。あくまでも手続きが必要です。

 

平成27年から要件となった資産要件ですが、令和3年8月からはさらに細分化されました。介護保険法の改正には注視しましょう。